モテる要素は“見た目”が急浮上
結婚するとなれば相手選びが重要だが、かつて高学歴・高収入・高身長である男性を示す「3高」という言葉もあった。女性が結婚相手に望む条件を指したもので、1990年初頭の流行語に。この言葉も今ではほとんど聞かれなくなったが、若い世代は何を重視して恋愛相手や結婚相手を選んでいるのだろうか。
「外見で判断することが多いです。最近ではそれを意味する『ルッキズム』という造語が生まれています。表向きは外見で差別できない風潮の世の中ですが、Z世代はTikTokで容姿を加工し、スタイルも抜群にしてバズっているのが現状です。そういった流れで、結婚相手の条件として容姿が以前より重要視されるようになった。昔に比べると男女の賃金格差も減ってきているし、女性の労働参加がある。SNSでも稼げる時代。結婚相手に3高の要素を求める人はごくわずかでしょう」
高身長は見た目なので今もモテる要素かもしれないが、高学歴があまり重視されなくなった理由を原田氏はこう分析する。
「偏差値の高い大学出身であることを武器に一流企業に勤めても収入には限度がある。一方で学歴は武器にできなくても起業して、会社員以上に稼ぐ人が出てきていますからね。『東大に入ったら人生バラ色』というのは、昔の話。学歴社会もまだまだありますが、絶対的な価値観ではなくなりました」
『マーチ以下と以上』
そもそも、大学の偏差値や教育内容などは変わってきており、学歴を昔のままの価値観で判断するのは危うい。例えば「MARCH」(マーチ)といった大学群があるが、最近ではその括りが薄れているという。
「今でもマーチという基準はあります。若い世代も知っているし、『マーチ以下と以上』というふうに使われることもあります。ただ、各校の偏差値にばらつきが出てきており、その大学群を疑問に感じるのも不思議ではありません」
最近ではマーチのほかに、SMART(スマート)という大学群も。これはマーチの中央大学、法政大学を外し、上智大学と東京理科大学を加えたもので、大学への価値観も時代とともに変化していることがわかる。
変わってきたのは学歴に関する価値観だけでなく、職場選びについても。労働環境や作業内容が「きつい」「汚い」「危険」であることを意味する「3K」。この言葉もあまり使われなくなった。その理由には企業側の改善もあるという。
「人手不足が深刻化している中、当然、労働環境の悪い企業では人は定着しません。SNSの発達で職場の状況はすぐに広まりますし、企業側もかなり改善を進めてきたという側面もあると思います」