15歳でデビューし、以来変わらず彼女を支持するファンもいる。彼女もまた何よりファンを大切にし、誠実な対応で知られてきた。しかし自身が起こした騒動で、その絆が揺るぎかけたことがある。
「なんてことをしてしまったんだと、ただただ自分の犯した過ちに苛まれました。みなさんに大変なご迷惑をかけ、それでも温かい手を握らせていただき、ここまでこられた。奇跡のようだと思います」と酒井さん。
かつての事務所社長からのアドバイス
現在の心境を語る。
「まわりからはいろいろな目で見られると思う。だけどこんな私にチャンスをくれる方もいて、恐る恐る歩いてきました。4年前にB&G財団からお声がけをいただき子ども健全育成大使を務めていますが、最初は自分でいいのかすごく悩みました。
けれどB&G財団理事長が“誰でも間違いはする。でもやり直すチャンスは必要だ”と言ってくださって。施設の子どもたちが喜んでくれて、その顔を見たら、自分にも何かできることがあるのかもしれないと思えた。みなさんと丁寧に関わっていくことで、“いろいろあったけど、彼女と一緒にできてよかったな”と思ってもらえたらと─」
地道に実績を重ね、ひとつひとつ信頼を取り戻してきた。再スタートを経て、「これまで応援してきてくださったファンの方々にいかに楽しんでもらえるか。何か新たな世界を切り開くというより、まずそれが第一にある」と酒井さん。デビュー時から大切にしてきた変わらぬ思いがあるという。
「今も昔も私の原動力になっているのは、“みなさんに笑顔になってもらいたい”という思い。サンミュージック在籍当時、事務所の社長に“法子はすぐ感情が顔に出る。人前に出るときはまず鏡を見なさい”と言われ、その教えをずっと守ってきました。おかげで“明るく元気なのりピー”のキャラクターで親しんでもらえたと思います。
人に喜んでもらうのが私の喜びで、それは私の中に変わらずあって。来年はうさぎ年ですが、私はホップ・ステップ・ジャンプではなく、匍匐前進でいくつもり(笑)。大きなことはできないけれど、みなさんに少しでも元気になってもらえるよう、真摯に一歩ずつ進んでいけたらと思っています」
取材・文/小野寺悦子