「この20年で確立されてきて、需要と供給、イベントのある繁忙期に合わせて料金を上げたり下げたりするということは一般的になりました。海外はもっと顕著でカタールのワールドカップでのケースはまさにわかりやすいのではないでしょうか。普段の宿泊費の数倍となっています。

 国内でわかりやすい例は、数年前にアパホテルが安いときは3,500円、高いときは同じ部屋が4万円という設定をしていました。これはやはり需要と供給ですし、またある程度の値段を取らないと従業員の給料を上げられない。宿泊業界は本当に給料が低いので……。従業員の“なり手”がいない。すると国が求める“インバウンド年間4000万人”をさばくことも難しい

お得に泊まる方法は?

 しかし、日本人は変動性のある価格設定に慣れていない人が多い。

「ガソリンや電気料金など、目に見える指標があってそれで値が変わるものはある程度しょうがないという意識が働くのですが、 “同じサービスが行く時期によってだいぶ変わる”ということに、日本人はやっぱりまだ慣れていないかもしれません。

“このようなホテルだから、このくらいの金額だろう”というイメージができ上がってしまっている。そしてそれが高くなると、どうしても“ボッタクリ”というような気持ちが生まれてしまう。都内はビジネスホテルが増えていますから、余計に“この狭さのホテルで2万円も取るのか”というような消費者心理が働いてしまう。日本も昔から時期によって何割かは変動していましたが、“倍”というのはないだろう、という部分はありますよね」

 今後は……。

「外国人観光客が増えていくと、値段は上がるでしょう。今回の高騰の隠れた問題は、“3割くらいしか外国人は戻っていないのに、これだけホテルの宿泊料金が上がってしまっている”ことです。新規でホテルがオープンしたり、一旦閉鎖したホテルが再開されたりする可能性はあるでしょう。そういった形で部屋数が増えるのを待つということになってくる。ただそれも2〜3年はかかると思いますが。中国人もいずれドカンと来るはずなので、そうなったらもっと値上がりするでしょうし、すると再び部屋数は追いつかなくなる」

1泊10万円ほどに宿泊代が釣り上げられた『ホテルセレクトイン八戸中央』の室内(HPより引用)
1泊10万円ほどに宿泊代が釣り上げられた『ホテルセレクトイン八戸中央』の室内(HPより引用)
【写真】羽生結弦アイスショー開催で1泊10万円に高騰した八戸ビジホの室内

 そんななか、なんとか“オトク”に泊まるには……。

「ビジネスホテルには、料金を固定しているホテルもあります。代表的なのは『東横INN』。そういった固定料金のホテルを、予約サイトを通さずに、直接公式サイトから取る。ビジネスホテルチェーンは“直販”を強化しているところが多いので。そういったところは『ホテル会員』の“会員向け割引プラン”などもあります。

 また、このような高騰によって、下火になっていた『民泊』も必ずまた増えていくはずです。そこで安いところを探すという手もあるでしょうもっと簡単なのは、都内の旅行であれば埼玉の大宮、神奈川の川崎など都心からもわりと近いところのホテルを取ることですね」

 状況が改善されるまでは、東京での宿泊は諦めたほうがいいのかも……。