だが、そんな根強い人気を誇ったドラマは、この20年間、見やすい環境にあったわけではない。2004年にはTBSの深夜帯で再放送されたが、そう頻繁には再放送とならず、2010年代は長らくDVDがこの作品を見る唯一の手段だった。逆に言えば、そんな20年間の間に“伝説のドラマ”感がより熟成されていった。そんな中、初めて配信されたのが今から2年前だ。

 2021年1月クールの同じ長瀬智也主演・宮藤官九郎脚本のドラマ『俺の家の話』放送に合わせたタイミングで、一時的にTVerで、そしてParaviでも配信が解禁された。

 ただ、ほとんどサービスとしては広まっていないParavi(2021年時点の定額制動画配信サービスの市場シェア2.6%)よりも、市場シェア23.1%と独走中のNetflixで配信されたこの2023年のタイミングで、より多くの人が見られる土壌が整ったと言っていいだろう。

 そして、その結果が、冒頭で紹介した2週連続3位、3週目も4位という高視聴数である。

 その他のランクインしている作品にはNetflixオリジナルで制作された新作も多い。特に2週目は、映画『君の名は。』『怒り』等をヒットさせた川村元気氏のプロデュース作であり、地上波CM等でも大体的にプロモーションされたNetflixオリジナル作品『舞妓さんちのまかないさん』よりも上位にランクイン。

2000年の『I.W.G.P.』は“Netflixっぽい”作品

 2000年に放送されたドラマが、2023年の並み居る強豪を抑えてのランクインは快挙と言っていいだろう。前述のとおり、キャストの豪華さや“伝説”となる土壌が整っていたとして、なぜこのような現象が起きているのだろうか。

 改めてこのタイミングで見直して気づいたことがある。『I.W.G.P.』は、とてもNetflixっぽいのである。2000年放送のドラマに対し、まだ当時存在しなかったNetflixというサービスの名前をあてがって評するのは矛盾していることはわかっている。だが、『I.W.G.P.』は今のNetflixでウケる要素が多く入っているのである。

 Netflixの日本オリジナルの作品といえば『全裸監督』のヒットが象徴的である。シーズン2・第1話の冒頭では当時の渋谷のスクランブル交差点をオープンセットで再現して描くなど1980~1990年代という少し昔の風景を再現。

 さらにはエロやバイオレンスなど、現在の地上波では放送できないだろう過激な内容が話題となった。これ以降、配信の作品で“地上波では放送できない”を売り文句にする作品も多い。事実、地上波でのコンプライアンス意識が高まり作品制作の自由度が狭まる中で、配信サービスがそこからこぼれ落ちている作品の受け皿になって支持を高めている面もあるだろう。