母との約束「きれいに生きましょうね」

 草笛さんが、大切にしている言葉がある。

草笛光子「わがまま放題やって『おもしろい女優だった』と言われたい」
草笛光子「わがまま放題やって『おもしろい女優だった』と言われたい」
【写真】参考にしたくなる、草笛さんの華やかなイエローのパンツルック。

「『週刊文春』で私が執筆しているエッセイの連載タイトルにもなっていますが、『きれいに生きましょうね』という母との約束。

 母がマネージャーだった当時の芸能界はいろいろとありましたから、決して外見のことでなく、生きざまのことなのですが、ずっと大切にしています。

 もうひとつ、『一番きれいなのは、女性の裸よ』。これも母の言葉です。

『洋服が美しいのではなくて、中身が美しいことが大切』だと伝えたかったのでしょう。着飾るよりも土台が重要だと、ズバッと教えてくれる母でした」

 最後に、人生100年時代、89歳の今、草笛さんはこの先をどう生きていこうと考えているのか聞いた。

「女優として、まだまだいい仕事がしたいです。みなさんに感動してもらえる腕のある女優になりたいと思っています。あとは、わがまま放題やって『おもしろい女優だった』と言われたいですね」

 話をしていると89歳の高齢だということを忘れてしまうような、少女のようなキラキラ感を纏っている草笛さん。気持ちの若々しさこそが輝きの秘訣なのだと実感した。

『草笛光子 90歳のクローゼット』(主婦と生活社)著=草笛光子 ※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします

草笛光子 90歳のクローゼット』(主婦と生活社)89歳になった草笛さんのクローゼットから50着以上を披露。年齢に負けず輝くための服と心意気が詰まったファッションフォト&エッセイはシニア世代の新おしゃれバイブル。

草笛光子(くさぶえ・みつこ)●1933年、神奈川県生まれ。1950年松竹歌劇団入団。'53年に映画デビュー。映画『老後の資金がありません』で第45回日本アカデミー賞 優秀助演女優賞受賞。昨年はNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』比企尼役で好評を得た。映画、ドラマ、舞台と第一線で活躍。

(取材・文/井ノ口裕子)