[証言3] 元大学受験塾Cのアルバイト講師

 最後の証言は、これまでの中学受験塾ではなく、大学受験塾Cで講師経験のある谷口さん(33歳男性・仮名)。国立大学医学部在学中に、医学部志望向けのクラスでアルバイト講師として、数学と物理を教えていたという。

 大学受験塾Cは、多くの講師が現役の国立大学生や医学部生であることを売りにしている。もっとも学習塾で講師に求められるものが大きい大学受験において、1〜2年前に大学合格を勝ち取った学生のほうが講師として優秀である、という考えに沿っているという。

 ただ、つまり18歳の高校3年生の女子を、19歳の男子大学生が講師として教える、ということが起こり得てしまうのだ。となると──。

「僕は医学部在学中の6年間、大学受験塾Cでアルバイトで講師をしていましたが、高3の女子生徒と付き合ったことが2度あります。生徒といっても、たかだか2〜3歳下とかですからね。

 学生講師も、生徒たちも、どの講師と誰が付き合ってるとか、あの講師が誰に手を出して揉めてる、とか日常茶飯事でした。当時は講師である自分も生徒もまだ若いので、特に違和感はありませんでした」(元大学受験塾Cアルバイト講師・谷口さん、以下同)

 四谷大塚のような事件が起こり得るかを聞くと。

「さすがに講師と生徒、というのはなかったと思いますが、教室が入っているビルの別フロアの多目的トイレで生徒同士が、なんて話はありました。小学生の生徒と塾講師、というのと、僕らがいた環境はまた全然違うとは思いますが、講師がどこかで”先生の立場を利用している”という感覚は正直共通しているものがあると思います」

 もう十分に分別のつく年頃の恋愛とはわけが違う。

 取材して見えてきたのは、塾講師という職業そのものに、構造的な問題点がはらみやすいということ。

 将来のために子どもたちが学ぶ場が、性犯罪の温床になることなど言語道断である。