そして紅組のトリ、堂々1位はプリンセス プリンセス。東日本大震災復興支援を目的に'12~'16年に再結成したが、根強い人気を誇る。

「ガールズバンドの先駆けですよね。'89年のシングルの年間売り上げのトップが『Diamonds』で、2位が『世界でいちばん熱い夏』。プリプリが制覇した1年でした。あのとき青春を過ごした人にとっては、一生もののバンドなのでしょう」

 白組1位、妄想バンド紅白のオーラスは、活動期間7年という伝説のバンドBOOWY。氷室京介と布袋寅泰、二大カリスマの共演を熱望する声は絶えない。

ラストライブのチケットは9万枚以上が10分で完売したBOOWY
ラストライブのチケットは9万枚以上が10分で完売したBOOWY

「'86年の武道館ライブで氷室が言った“ライブハウス武道館へようこそ”が有名ですね。この紅白では“ライブハウスNHKホールへようこそ”と言ってほしい! 『Marionette』『B・BLUE』『ONLY YOU』をメドレーで」

 往年のファンは感涙必至! さて、軍配はどちらに?

「紅組も豪華メンバーですが、THE BLUE HEARTS、X JAPAN、チェッカーズ、BOOWYの並びは最強。白組の優勝でしょう」

 どのバンドも現実での復活を期待したいけど、バンドが復活する事情とは?

「実情は測りかねますが、金銭的な問題だったり、何万人からの喝采の快感を忘れられないというのもあるでしょう。昔は再結成はあまりなかったですが、甲斐バンドが'96年に期間限定で復活し、計5回も再結成して。そのあたりから、ファンや世間が再結成を受け入れるようになりました」

 令和のバンドと平成のバンドの違いは何だろうか。

「デジタルで楽曲を作って配信するという米津玄師さんのようなスタイルが多くなった今の音楽シーンでは、バンド自体が少数派に。平成バンドが支持されるのは、あの時代へ郷愁の念といえるでしょう。逆に今、バンドの生演奏は打ち込みには代えられない魅力が詰まっている。もちろん妄想紅白もすべて生演奏で決まりです!」

スージー鈴木●音楽評論家、小説家、野球評論家。『桑田佳祐論』『サザンオールスターズ1978-1985』(ともに新潮新書)、『EPICソニーとその時代』(集英社新書)、『恋するラジオ』(ブックマン社)など著書多数

(取材・文/小新井知子)