「松本さんの主張が認められた場合、損害として生じる可能性があるのがまず慰謝料です。これが数百万円程度で、日本で1000万円を超えることは少ないです。今回は慰謝料だけでなく、テレビやCM出演がなくなったことに対する損害が莫大じゃないかという指摘があるかと思います。
テレビ局やスポンサーが性加害を理由に降板に至ったと考えた場合、松本さんは性加害について明確に否定しているので、もし性加害についての真実性や真実相当性が否定された場合には損害に含まれる余地もあります」(河西弁護士、以下同)
損害額の算定には複雑な要素が絡み合う。
「レギュラー番組もいつかは終わるわけで、裁判所は損害の判定に苦慮するかと思われます。報道がなければ1年ぐらい続いていたと仮定してギャラを推定するということもあるかもしれません」
『週刊文春』の主張が認められる可能性もある。
記者会見のデメリット
「被告側の文春が、記事が真実だと立証できた場合や、取材を尽くし真実であることの相当の根拠を示せた場合は、慰謝料の支払い義務は生じません。密室での性加害で物的証拠も少ないので、被害を受けたとされる女性たちの証言の信用性が何より重要です。矛盾点がないか、一貫性や具体性があるか、客観的状況と一致しているか、このあたりがポイントになってきます」
『ワイドナショー』出演はなくなったが、松本が何らかの方法で主張を表明することはできるのだろうか。
「テレビ放送の場合、放送法や放送倫理規範の問題、公共性や中立性の問題が出てきます。テレビ放送でトラブルを扱う際には、双方当事者の意見を併記する、双方に取材してから放送するのが鉄則です。一方当時者である松本さんのみを出演させるのは、公共性や中立性が疑われてしまう可能性があると思います」
記者会見を開くという方法も考えられる。
「記者会見で話をするかは本人次第ということになります。ただし、質疑応答がメインになることが予想されますし、記者からは被害者視点に立った質問が出てくる可能性もあります。回答に窮する場面が想定されるとすれば、本人にとってデメリットが大きいと考えることもあるかと思います」
裁判は時間がかかるとされるが、そうなると芸能界に、どんな影響が予想されるのか。お笑い評論家のラリー遠田氏に聞いた。