千三つ屋(“千”の言葉のうち“三”つしか真実がない)といわれるほど裏表がある不動産業界の中で、祟りにより嘘をつけなくなってしまった主人公の永瀬が、正直すぎる営業により客の信頼を得て成約を勝ち取っていく人気コミック『正直不動産』。
2022年にNHKにて山下智久主演でドラマ化されると《不動産業界の裏側、物件の選び方がわかって面白い》とSNSなどでも反響が。今年1月からは『正直不動産2』として続編が放送されている。
そんな話題作のモデルではないのだが、偶然にも千葉県船橋市にまったく作品と同名の不動産業者が存在した。
『正直不動産』が実在していた!?
「最初、うちと同じ名前の漫画があると思ってびっくりしました。今では作品のファンになって全巻コミックを持ってますしドラマも見ています(笑)」
こう話してくれたのは、『正直不動産』の2代目社長である板橋良夫さん。同社は洋服店を営んでいた先代の父親が、昭和44年に不動産業に転身。現在は船橋市を中心に物件の賃貸管理を行っている。
「社名は父親がつけました。何事も正直にやっていこうという思いが込められています」(板橋さん、以下同)
ドラマが始まってからはこんな反響があった。
「近くに船橋大神宮があるのですが、お正月に『正直不動産スペシャル』が放送されたからか、初詣帰りにうちの会社の写真を撮っている人もいました。ドラマと同じ名前だからという理由で来店して、私と話して帰っていく人もいましたね。
それと、『定年退職したから今度はここで働かせてほしい』なんて方もいましたけど、それはさすがに困りました(笑)」
業界内の裏側を描いた作品だけに、不動産関係者でも話題となっているんだとか。
「私の周囲でもここまで描いていいのって驚いていましたね。『正直不動産2』の1話でタワーマンションを売るときに、永瀬が隠したくても嘘が言えないので、『朝はエレベーターが混んでてなかなか来ない』みたいな感じでデメリットを説明していたじゃないですか。
実際に不動産の営業でも嘘はつきませんが、伝えなくていいことは伝えないという人もいます。正直、私もドラマが始まったときは、裏側まで見られちゃって『ちょっとな……』と思っていたんです。
でも、見ていくうちに永瀬のような営業スタイルっていいなってあらためて思うようになって。より正直をモットーにストレートでやっていこうという気持ちが強くなりました」
永瀬と同様に“正直営業”を貫いている板橋さん。ちなみに、同社には山下のようなやり手イケメン営業マンがいるのかを尋ねると……?
「いるんですけど、ちょっと年をとっちゃったかな。かつては山Pみたいにシュッとしていたけど、もう50過ぎちゃったから(笑)。でも、営業成績はいいですよ」
現在は300ほどの物件を抱えているというリアル『正直不動産』。まもなく春の引っ越しシーズン。転勤や進学などで船橋市周辺に住むことになった際は、一度訪れてみては?