保険料は住まいのある地域(都道府県)や建物の構造によって違ってくる。建物の構造は鉄骨・コンクリート造と木造の2種類に分かれ、耐火性能が低い木造のほうが保険料は高くなる。

「地域による差は地震の発生確率をもとにしています。例えば東京都は地震の発生確率が高く、今回地震が起きた石川県はデータ上低い。同じ建物の構造、同額の保険金をかけた前提で保険料を比較すると、その差は約4倍です。当然ながら東京都のほうが保険料は高くなるわけです」

 保険期間は最長5年(火災保険保険期間が3年など5年以下の場合は同期間が最長)。1年で契約する人が多いが、保険料改定の影響を受けやすくなる点に注意したい。

地震保険保険料は値上がり傾向にあるため、1年ごとの自動更新のたびに保険料が高くなる可能性は高い」

 なお前述したとおり官民一体の公共性の高い保険なので、保険料はどこの保険会社でも同じだ。

損なく備える3つのポイント

 地震保険を安心安全かつ保険料の損なく備えるにはどうしたらいいのか。松浦さんは3つのポイントを挙げる。

◆1 保険金は適正な金額をかける

 建物にかける保険金の適正額が1500万円だったとしよう。それに対して2000万、2500万円と補償を手厚くしたとしても、支払われる保険金は増えない。

地震保険は建物の損害の状況を保険会社の調査員が判定し、その程度に応じて前述した保険金支払い金額のパーセンテージを導き出します。加えて建物の価値も判断材料に盛り込まれます。つまり、保険金をたくさんかけたとしても、損害の程度や価値判断によっては満額支払いにはならない。かけ損となってしまうケースがあり得ます」 

◆2 保険料の割引制度を利用する

 建物の免震・耐震性能に応じた各種の保険料割引制度が設けられている。これを利用しない手はない。

「例えば免震性能の高い免震建築物に該当した場合、保険料割引率50%の適用となります。そのほか耐震等級、耐震診断、築年数に関係した割引があり、適用を受けるには所定の書類提出が必要です」

◆3 代理店経由で加入するのが賢い 

 保険の加入は代理店を通じて申し込むか、ネットを通じて個人で申し込むかに大別される。後者のネットのほうが手軽だが、松浦さんは代理店経由を推す。

「ネット申し込みの場合、加入者がネット損保などと直接やりとりしなければなりません。手続きに手間や時間をとられ、保険金を受け取るときの書類の準備なども大変です。代理店経由の申し込みなら、それらの作業は担当者のサポートを受けながらできます。専門知識を武器に保険会社と交渉してもらえば、保険金を多く受け取れる望みもあります。ですから代理店経由が望ましい」

 ここまで持ち家を前提としたが、賃貸住まいの地震保険の備え方も見ていこう。