プロも脱帽した“腕前”
撮影が行われたのは、1月下旬。スーツを仕立てるミュージカルシーンは、東京・荻窪にある『テーラーまなべ』でロケが行われた。
「大事なシーンになると、事前に聞かされていました」
こう話すのは、『テーラーまなべ』の真鍋康昭さん。
「シリアスなシーンの撮影でしたが、撮影チームは和気あいあいとした様子でした。錦戸さんも気心の知れたスタッフさんがいたようでしたよ」(真鍋さん、以下同)
チームワークも抜群で、
「錦戸さんとスタッフさんが、カメラの映り方などについて意見を交わす場面も。演技に納得がいかないと“もう1回お願いします!”と、錦戸さんが自ら撮り直しを志願して、よりよいシーンを作ろうとしていました」
真鍋さんが最も驚いたのは、錦戸の“腕前”だったという。
「足踏みミシンを使う場面では、本番前に30分ほど使い方をレクチャーしました。とにかく一生懸命、練習していたのを覚えています。初めての人に指導をしても、1日で使える人はほとんどいないのですが、錦戸さんはたった30分の練習でサマになっていて驚きました。本番中は、少しでも違和感があると“真鍋さーん!”と呼ばれて、ミシンの手直しをしたり、教えたりしました」
採寸も、歌詞に沿って指導。
「ただ、慣れていないという設定で下手に見せるシーンだったので、教えながら“これじゃ下手に見えないね”といったやりとりをしました」
震災前夜の居酒屋のシーンは、神戸ではなく都内の飲食店で撮影。
「従業員によると、撮影は深夜から早朝にかけて行われたそうです。放送から数日後でも“聖地巡礼”のファンが来ているとか。ドラマでは、店内を小道具などで、'95年仕様に見せていましたが、錦戸さんが使っていた“おちょこ”は実際にその店で使われているものだそうです」(店を訪れた客)