CMでも注目を集めた當真あみ(左)と、水原希子の“妹分”としてモデルデビューした八木莉可子(右)
CMでも注目を集めた當真あみ(左)と、水原希子の“妹分”としてモデルデビューした八木莉可子(右)
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 最後にもうひとり、田幸さんが推すのは『舞いあがれ!』でヒロインの恋敵・史子を演じた八木莉可子(22)。『カーネーション』で主演を務めた尾野真千子に激似だと話題になったことも。

「とても華がある役者さんで、時にはかわいく、時には美しく、それでいて狂気を感じさせるような演技もできる方。透明感も抜群です。NHKの夜ドラ『おとなりに銀河』でヒロインを務めた演技も、印象に残りました」

人気女優たちもオーディションで落選した過去が

 はたしてこの中から未来のヒロインは現れるだろうか。オーディションにしてもキャスティングにしても、ヒロインの座をつかみ取るのは至難の業。最近では、「ヒロイン落選」の経験を語る女優も珍しくない。

 例えば、ファッションデザイナー・森英恵の孫で、モデルとして活躍する森星(31)は『あまちゃん』のヒロインに落選。アイドルグループ『AKB48』を卒業した柏木由紀(32)も、これまでに4度オーディションを受け、すべて落選したことをバラエティー番組で明かした。

 福原遥(25)、川栄李奈(29)、安藤サクラ(38)など何度かの落選を経て見事ヒロインを勝ち取った者も多い。また、ヒロインには落選したものの、脇役として起用されるケースも目立つ。

 『わろてんか』では、落選した広瀬アリス(29)が、葵わかな(25)演じるヒロイン・てんの夫に思いを寄せるリリコ役に起用された。また『べっぴんさん』のオーディションには、アイドルグループ『ももいろクローバーZ』のメンバーがそろって参加し、全員落選。

 だがその後に百田夏菜子(29)が、ヒロインを演じる芳根京子(27)の親友役に抜擢された。そのほか、吉岡里帆(31)、石田ゆり子(54)、小芝風花(26)、森七菜(22)なども、ヒロインには落選したが脇役としてキャストに加わっている。

 当落の基準について田幸さんは「朝という時間帯からして、ヒロインには“明るく元気”なイメージが求められがちなことは確か」と話す。

「最近は、おじさん世代が多いNHKの制作サイドが目指すものと、私たち女性視聴者が求めるものにズレがあるようにも感じます。いかにもおじさん感覚で、勝手に理想の女性像を描いているのかと疑いたくなる作品もありますね」

 今年から来年にかけては『おむすび』の橋本環奈、『あんぱん』の今田美桜と“元気なヒロイン”の朝ドラ王道パターンが続きそうな予感だ。しかし「朝から元気いっぱいのドタバタ劇は正直しんどい」という視聴者の声も少なくない。

視聴者の多くは40代以上の女性で、落ち着いた大人のヒロインを求めているはず。例えば、出産後の安藤サクラさんを思い切って起用した『まんぷく』は素晴らしい作品でしたし、『スカーレット』の戸田恵梨香さん(35)は主人公の“老い”までも素敵に演じられました。そろそろまた、しっかりした大人の女性の物語を見たいですね

 ここ4~5年ほどは視聴率の低迷に苦戦している朝ドラだが、根強いファンは多い。心揺さぶる新たなヒロインの登場に、大いに期待したい。

取材・文/植木淳子