容疑者の唯一の気晴らしは…
以降は母娘2人だけの生活に。容疑者は決まって朝10時になると、自宅から200メートルほど離れたスーパーへ歩いて通っていた。
「毎日、買い物する必要もないと思うけど。きっと一日中、母親と二人きりで介護しなきゃいけないから気晴らしだったのかも……。介護が大変なら、近所や友だちに愚痴をこぼしたり、行政などへ相談したりすればいいんだろうけど、そういうタイプでもなかった」
母親を介護施設へ入れることはできなかったのか?
「金銭的にはできたはずだけど、母親が嫌がったのかもしれないね」
取材に答えてくれた近隣住民のほとんどは、容疑者に同情的だ。
「あれほど献身的にやっていたんだから、かわいそうの一言ですよ。減刑を求める嘆願書を、みんなに募ろうと考えているところです」
老老介護で追い込まれた末の殺人だった。