大ヒットドラマ『半沢直樹』で、堺雅人演じる半沢が香川照之演じる宿敵大和田常務に屈辱の土下座を強要されたが、それをバネに逆転した「倍返し」が流行語となりました。世界史で「カノッサの屈辱」という名シーンがありますが、明日蓋を開けて見れば「9月24日の屈辱」と後世に語り継がれるような運命の分かれ目となった可能性があるのです。

 私は、麻生副総裁が小泉氏を支援し、1次投票、決戦投票でも勝利させる可能性がかなりあると考えています。

現実の権力闘争の答えは「勝つ」より「負けぬ」こと

 なぜなら政治とは、「理想」より「現実」にあるからです。

【1】小泉氏と菅氏の理想は勢いそのままに「完全勝利」、負けた麻生氏は高齢もあって引退もちらつく事態に。

(表1の丸1参照 理論的に知りたい方向けの図解です)

【2】しかし麻生氏が劣勢だった高市氏をかついで逆転すれば理想的な「完全勝利」、負けた菅氏は高齢で復権の目はなくなる。

(表1の丸2参照)

 つまり、【1】【2】とも、麻生、菅両キングメーカーがギャンブルに出て、負けた側が全てを失うシナリオ。しかし、政治とは常に「理想」よりも「現実」が優先されるもの。手を握れる可能性を最後まで追い求めて成功は分かち合う道が残されています。

(表1の丸3参照)

 【3】それは、麻生副総裁があえて小泉氏を支援、当選させることで、小泉・菅ラインに恩を売り、共存を図るというシナリオです。

 そこで今ギリギリの交渉となっているのが「小泉氏勝利で得た成功をどうシェアするか」なのではないでしょうか。その最たるものが新政権の人事、象徴は総裁に代わって党運営を預かる自民党幹事長そして新内閣の扇の要となる官房長官。

(表2参照)

 両巨頭を副総理もしくは副総裁で処遇するのか。

 そして麻生派に次いで数の多い、岸田派と茂木派の動向も鍵を握っている。であれば岸田派の林芳正氏を副総理、茂木派の領袖、茂木敏充氏を官房長官など三顧の礼で迎え挙党体制を築く。刷新感あふれる小泉総理は来月の総選挙を勝ち抜き政権を維持する、もし年明けの通常国会で立憲民主党野田佳彦代表の重厚感に押し切られたら、安定感抜群の林・茂木氏がピンチヒッターに立てる。