多くのスターを輩出した『3年B組金八先生』。30年以上続いた人気シリーズだが、金八先生以外で唯一、シリーズすべてにレギュラー出演したのが、津軽弁が特徴的だった大森巡査役の鈴木正幸だ。5年前から栃木県那須で田舎暮らしを選択し、今は田んぼや畑に精を出している鈴木に、第1シリーズで共演した“たのきんトリオ”について聞いてみると――。
「初めて会ったときから、トシちゃんは大人びてるなあと思っていたら、やっぱり年3つくらいごまかしてたんですよ(笑い)。だから、3人の中ではちょっと引いてみているというか。あのころからトシちゃんは自分がスターになるんだっていう意識を持っていましたね。マッチはとにかくやんちゃ。撮影待ちのときに巡査の手袋をガムテープでぐるぐる巻きにしてボールにし、三角ベースをしていましたよ。野村よっちゃんはニコニコして人懐っこい感じでした。愛嬌がありましたね」
39.9パーセントという高視聴率で第1シリーズを終えた。だが、同時間帯のライバル番組『太陽にほえろ!』(日本テレビ系)との視聴率争いは、し烈だった。
「第1シリーズの打ち上げは、みんなが重圧から解放されて、すごく盛り上がりました。生徒たちは帰しましたけど、ほかの出演者、スタッフは朝まで付き合いました。武田さんは男子生徒にビニ本なんか配ってね。マッチには“おい、すぐにトイレ行くんじゃないぞ!”って。打ち上げの次の日に奥さんに言われたそうですが、打ち上げから帰ってきて家で寝ていた武田さんは途中で起き上がって“3Bの生徒がマンションのエントランスで金八先生って呼んでる。俺は行かなくちゃ”って言ったそうです。幻聴と幻覚を見たって。それくらい全身全霊をかけていたんでしょうね」