冷たい人の中ではいちばんあたたかい人と言われた(笑)

 自身の性格について聞いてみると、

「神経質ではないですね。だから各国を旅していられるのかもしれない。どんな場所でも眠れるし、うるさくてもイヤホンすればいいし。周りがどうしていようと気にならない。クールなほうには分類されるのかな? でも面白そうなことは全部試すので、“ギャップがある”と言われることは多いですね。なんだっけ? The warmest in the cool personと言われたことがあって。冷たい中ではいちばん温かい人だ、みたいな。なるほどと思った(笑)」

 ピアニストとしての自身の強みを尋ねると、

「クラシックの土台を持ったうえで、新しいことにトライしようとする人ってほとんどいなくて。保守的なクラシックの世界で真ん中を目指すか、そこから出て自分のことをやっていくか。だいたいどちらかなんですよね。

 僕はクラシックのギリギリの縁にいると思っていて。そこから落ちずに、領域をちょっと広げようとしているというか。それが困難でもあり、強みだと思っていますね」

 ラブコールは世界のあちこちから。躍進し続ける唯一無二の才能を、その目と耳で感じてほしい。

気になるあれこれ聞いてみると…

日本語、英語以外の語学も?

「フランス語と韓国語はボーダーぐらい。ドイツ語と中国語はできるようになりたいけど、勉強中の域を脱することはおそらくないと思う(笑)。(各国での)コンサートで、ちょっとなんか言いたいっていうモチベーションはあります。あと、歌曲の勉強をしているとフランス語やドイツ語でいろいろ指示が書かれているので、それを理解したいとも思っています」

音楽と数学以外で好きなものは?

「近所の銭湯にはよく行きます。便宜上、銭湯なだけで温泉も好き。サウナも好きですけど、いわゆる“サウナー”の人々とはちょっと違うかな。1回、サウナと水風呂を3往復くらいして風邪をひいたことがあって。ニセ整い(笑)」


強いていえば、苦手な教科は?

「家庭科ですかね。興味がなかった。あと、今でこそ昔よりはまともなんじゃないかと思うけど、受験のころの国語はひどいものでした(笑)」

今まで生きてきて、いちばんうれしかったことは?

「うーん。難しいですね。武道館公演で弾いた瞬間は、わりとそうだったといえるんじゃないかな」

好きな食べ物は?

「ベビーカステラ、ゴーヤーチャンプルー、チャーハン、コーラ。ラーメンも好きだけど、最近は食べてないな。ラーメンってまずくてもそれなりに食べられるので、ハズレが少ないんですよ。寿司とかは、まずいともう食べられないけど(笑)」

夢を教えて?

「これは“不確かです”ということにしています(笑)」

角野に3年以上密着した『角野隼斗ドキュメンタリーフィルム 不確かな軌跡』
角野に3年以上密着した『角野隼斗ドキュメンタリーフィルム 不確かな軌跡』
【写真】世界がラブコールする異色のピアニスト、角野隼斗
公開中『角野隼斗ドキュメンタリーフィルム 確かな軌跡』 (c)角野隼斗ドキュメンタリーフィルム製作委員会 (c)Ryuya Amao

撮影/吉岡竜紀 ヘアメイク/川口陽子 スタイリング/金野春奈(foo) 取材・文/池谷百合子