そんな草なぎが一躍、脚光を浴びたのが器械体操クラブの時間。バク転もバク宙も、誰よりもうまく、このときばかりはヒーローだった。前出の女性誌記者が続ける。
「6年生最後の発表会ではライバルとふたりで『ウルトラマン前宙』という新しい技を生み出したそうです。
手前に立っている支柱を飛び越えてから、地上に着くまでに前方宙返りするという難易度の高い技で、当日はライバルが成功。草なぎさんは着地が不十分で、悔しくて泣いたと言っていました」
身体を動かすことだけは自信があった。中学1年生のとき、少年隊に憧れ、踊りだったら自分にもできるかもしれないとジャニーズ事務所に履歴書を送る。SMAPの一員に選ばれたが、内向的な草なぎは華やかなメンバーの陰に隠れた存在に甘んじてしまう。
「人気が出たのは『いいひと。』ですが、役者としての才能を開花させたのは'99年にヤス役で出演した舞台『蒲田行進曲』です。
草なぎくんは感情を表に出すことが得意ではない。そこを演出家のつかこうへいさんは“君の中には魔物がいる。そこがすごくいい。感情の扉を開こう”とアドバイス。その結果、大化けし見事な演技に誰もが驚きました」(テレビ局関係者)
ユースケ・サンタマリアと司会を担当した『『ぷっ』すま』は人気長寿番組に。『チョナン・カン』では韓国語を猛勉強。同時通訳ができるほどの語学力を身につけ、日韓交流に貢献している。またビンテージ・ジーンズのコレクターとしても知られ、知識は専門家並みだ。
中居正広がかつて草なぎのことを「ひと言でいうと“一途”」と評していたが、素顔は決して軟弱なタイプではない。草なぎについて母親も「昔から男っぽい性格です」と語っている。それは本人にも、自覚があるようだ。
《自分がこうだって思ったら、たとえ誰に何を言われても、その道を行くみたいなところがあるんだよね。頑固なんです》(JUNON'93年12月号)