「手抜き?」の不安や「檀家として」お寺を支える人も

 しかし、いいことばかりではない。一部の僧侶紹介サービスでは、坊さんが読経で一部を飛ばして手を抜いたのではないかといった話も出てきた。「派遣お坊さんは質が悪いのでは?」という不安の声が流れ始めた。

「提携するときに、住職としての経験だけでなくお人柄も含めて信頼できる方を選ばせてもらっています」(秋田さん)

 こうして派遣僧侶は、時代の流れの中で受け入れられてきているが、菩提寺との結びつきを大事にしている人も多い。

 新しいお寺のあり方を追求している一般社団法人お寺の未来代表理事の井出悦郎さんは、

「全国的には菩提寺のある人は少なくありません。

 先祖代々お世話になっているお寺、その中には格式のあるお寺もあるでしょう。そうしたお寺との付き合いを檀家として大切にしている人もいます。お坊さんにお経を読んでもらうだけではなく、100年単位で菩提寺の維持・修繕などに関わっている人もいます。

 派遣の僧侶に頼むのもいい。菩提寺のお坊さんに頼むのもいい、ご先祖様と向き合い、自らの生き方を問い直す機会が法事ですので、家族の生活観に合った形を考えることが大切だと思います」