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私は若い頃に「24時間勤務」の研修医時代を過ごしました。当時は今のように勤務体制や給料は定められていないに等しく、過酷といわれる職場で健康を維持しながら技術力を高め、新たな発想を生み出す習慣を身につけたのです。「カラダ」「ココロ」「アタマ」の3つが健康だからこそ、仕事のパフォーマンスが上がることを痛感しています。
一般のビジネスマンの方々は、職場環境や仕事内容を変えることは至難の業だと思います。ただし、環境は変わらなくても自らが変わることで、健康を取り戻して仕事のパフォーマンスを上げることはできます。
そこで、私の身につけた方法を『最高のビジネスパフォーマンスを実現する101の習慣』(秀和システム刊)という本にまとめました。今回は、その中から「やる気になる、強いメンタルを鍛える」ために必要な習慣をいくつか紹介します。
仕事に「100%」を求めない。完璧ではなく「9割の出来」で余裕を持つ
大多数の人は、上司や職場から与えられた職務をこなしています。その仕事がご自身の理想とかけ離れていればいるほど、ストレスを感じやすくなるのです。また、「業務が多すぎて好き嫌いをいっている場合ではない」という人もいます。
このように、ストレスを抱えやすい業務に対しては、「完璧にこなそう」とがんばり過ぎてはいけません。上司などからダメ出しをされたときに心が折れやすいからです。「あれほど一生懸命にがんばったのに、評価されない」というのは、ストレスを強く感じる原因になります。
完璧を目指すのではなく9割を目指す。それがストレスを軽減するひとつの方法です。手抜きを推奨するのではなく、気持ちのゆとりをご自身で作ることに意味があります。
たくさんの業務を全て完璧にしようとして、業務が滞ってしまうよりは、全てを9割程度の出来でも、完遂させることの方が効率的ともいえます。もちろん、完璧に遂行できないことにストレスを感じる人もいます。そんなときには、「完璧にするのは次回」と自らに言い聞かせて、心の余裕を維持しましょう。
上司の「理不尽な言動」には逆らわない。「受け流す」のがストレスをためないコツ
厚労省の「労働者健康状況調査」によれば、「仕事や職業生活でストレスを感じている」人は、1982年に50・6%でしたが、2012年には60・9%に増加していました。しかも、仕事の質や量よりも、人間関係にストレスを感じると回答した人が最も多かったのです。
職場には自分と全く異なるタイプの人もいるため、そういった人の言動に対してストレスを感じやすいともいえます。パワハラのように理不尽ないいがりをつける人がいると、さらにストレスを感じるでしょう。権力を振りかざして嫌がらせをする人は、それに快感を覚えているため、その人が去るか、自ら辞めないかぎり、改善は難しいといえます。
そんな人に「あなたは間違っている!」と叫んでも無駄です。上司のゆがんだ性格を部下の立場で変えるのは無理ですし、さらにいじめを受けるような事態にもなりかねません。むしろ、「申し訳ございません」と謝りながら受け流すのが一考です。
理不尽な言動をされて、「なぜ自分が謝らなければならないのか」と考えれば考えるほど、ストレスはたまります。キライな相手の言動で、ご自身の健康が損なわれては元も子もありません。心の中で、「いうだけ無駄、この人はこういう性格」と割り切ることで、ご自身のストレスを回避するのが得策です。
ただし、暴力などを振るわれたならば、人事部に相談するなど強気な態度で相手を追求しましょう。謝るといっても、決して理不尽な言動を容認することをお勧めするわけではないからです。