なぜジャニヲタは高額なチケットを購入するのか

 さて、前置きが長くなったが、そもそもなぜジャニヲタは高額なチケットを購入するのか。

 一般的にコンサートといえば、観に行くものである。しかしジャニヲタは違う。会いに行くものなのだ。

 主にJr.担などに多くみられるのだが、ファンが少ないジャニタレだとコンサートに毎回同じうちわを持ち、良い席ばかりに入っていると覚えてもらえる。

 カンペに「投げちゅうして」などと書いて何度も同じものを見せたり、「○○(自分の名前)のこと覚えてね」など、繰り返していくうちにタレントと言えども人間なので覚えていくのだ。そうすると「私の名前は?」というカンペだけで名前を呼んでもらえたりする。

 そこで、嫉妬が生まれる。「ずるい、私の名前も覚えてほしい」「もっといい席に入ればいいの?」と……。

 また、前述した「チケット掲示板」とは別に、ジャニヲタについて話す専用の掲示板も存在する。ここには、担当ごとのスレッドがあり「誰がどこの席に入っていた」「誰がどんなファンサービス(通称ファンサ)」を受けていたかなどが事細かに報告されてしまう。

 そこで、有名なジャニヲタというものが出てくるのである。常にコンサートで最前列に入っておりファンサをもらっていて、ほかの担当から認知されているような。

 そういうジャニヲタに対して、憧れるもの、嫉妬するもの……。どちらにせよ、掲示板は“回る”。つまり、書き込みが増え続けるのだ。

 自己顕示欲の強いヲタクのなかには、ネット上で自分の名前が露出することを好む人もいる。自ら、自分の名前をあたかも他人が書きこんだように掲載するジャニヲタだっている。

 まるで、今はやりのタレントとお付き合いしていると思わせぶる“匂わせ女子”と同じである。SNSで付き合ってるタレントとわかるような写真を掲載する。女子のマインドはたとえ有名人でも無名な一般人でも変わらない。相手がタレントであるならより一層だろう。

「私は特別なのよ」「私はすごい!!」

 そう、言いたいのだ、みんなにわかってほしいのだ。それは、タレントが好きだからではない。結局そんな自分が好きなのである。


<著者プロフィール>
菱ユーキ(ひし・ゆうき)◎ライター。ヲタク経験値レベル100。ジャニヲタ歴30年。アラサーヲタクの代弁使。かつてはメルマガで約1万人以上もの購読者を誇る。

<イラスト>
星野グミ子(ほしの・ぐみこ) ◎イラストレーター。バンドや俳優、アニメなど何かといろんなジャンルの沼にはまりがち。オフィシャルブログ『ハマったもん勝ち 沼ガール!』を運営中。

<今回のジャニヲタ用語集>

【担当(たんとう)】ジャニーズでお気に入りのメンバーやグループのこと。「ニノ担」などと表現する。

【ファミクラ】ジャニーズファミリークラブの略称、ジャニーズタレントの公式ファンクラブの母体となる組織のこと。