”友達の数”平均20人でも、悩みを相談できる友は…

 プライベートの時間はどうだろう。日本人が休養・くつろぎに充てる時間は、平均1時間31分(総務省「平成23年社会生活基礎調査」)。何をしようかと考えている間に、終わっちゃいそうな気が……。

「この時間でリフレッシュしなくてはいけないのですから、私たちは大変。選択肢は限られてきますよね。ゲームやスマホいじりは、安価で短時間でできる身近なリフレッシュ方法なのだと思いますよ

 と、あんびるさん。そんな限られた自由時間で行う「夫婦の会話」。明治安田生命が行ったアンケートによれば、「愛情を感じている」夫婦の平日の平均会話時間は1時間51分、そうでない夫婦は39分。また、人付き合いにかける平均時間は20分ほど(総務省「平成23年社会生活基礎調査」)。周りとの交際や夫婦間のコミュニケーションもそこそこに、あくせく働く日本人。たとえ短い時間でも有効活用するには? あんびるさんは、

わが家でブームの余暇の過ごし方は、散歩です。家族みんな、それぞれが都合のいい時間に、それぞれ行きたいところを歩き回って、たまにスマホで写真を撮って送り合っています。安価で短時間のリフレッシュ法としてはおすすめです

 友達に関する数字も興味深い。広告代理店アサツーディ・ケイの調査('14年)では、平均20人。この結果に作詞家の及川眠子さんは、

「知人、友人、仲間など、自分に関わる人たちの呼び方は多々ありますが、友達の定義づけは個人によって変わってくる。もっと関係性に縛りを作ったほうがわかりやすいと思います」

 確かに、漠然と友人とは何かと聞かれても即答できない。また同じ友達でも、「悩みを相談できる友達」となると、平均3人という結果に。

 作家でミュージシャンのドリアン助川さんは、

「月に1度でも酒を飲めれば友達なのか。ネット上でも、まじめに語り合える仲なら友達な気もするし。20人もいるとしたら、生涯楽しく生きていけそうなのに、日本の若年層の自殺率は世界ワースト1位。どうしてなんだろう。親友が1人か2人いれば、それで十分ではないかという気が僕はします。20人という数字は予想以上に多いな、という印象。みんなの願望も入っているのではないでしょうか

<プロフィール>
あんびるえつこさん◎生活経済ジャーナリスト、「子供のお金教育を考える会」代表。新聞社を退社後、各メディアで家庭経済に関する記事執筆を続ける傍ら、講演活動も精力的に行っている

竹信三恵子さん◎ジャーナリスト、和光大学人間学部教授。貧困や労働者問題についての先駆的な報道活動に対し’09年に貧困ジャーナリズム大賞受賞。最新著書に『正社員消滅』(朝日新書)

ドリアン助川さん◎作家、ミュージシャン。’15年、ハンセン病の元患者である女性の人生と周囲との交流を描いた小説『あん』(ポプラ社)が河瀬直美監督によって映画化され大ヒットを記録

及川眠子さん◎作詞家。Wink『淋しい熱帯魚』、やしきたかじん『東京』、新世紀エヴァンゲリオン主題歌『残酷な天使のテーゼ』などヒット作多数。モットーは「自分で自分を決めない」