ジャニヲタのなかで「コンサートを複数回見る」ということは普通のことだ(以前にも少し触れた)。一般の人たちにそれを言うと必ず返ってくる言葉がある。
「同じ内容なんでしょ? そんなに何回も行く必要あるの?」
と……。当たり前だ、そんなことは重々わかっている。
でも、“アンタだって同じラーメン屋に何度もいくだろうよ”と言いたい気持ちをグッと押さえながら「まぁね~(言わなきゃよかった)」と愛想笑いをするのがアラサージャニヲタの流儀だ。
ジャニヲタが何度もコンサートを見るのにはちゃんとした理由があるのだ。
■1) そもそも同じ内容ではない
もちろんセットリスト(演奏する曲とその順番)や演出は同じである。だが、コンサートは生ものだ。歌い回しのアレンジやちょっとしたハプニングなど……さまざまな事件が起こるのである。
たとえば、記憶に新しいのはNEWS手越祐也だ。ツアー『NEWS LIVE TOUR 2017 NEVERLAND』を終えた和歌山公演で、SNSの流出などで世間をお騒がせしていた手越がファンに向けて「心配かけてごめんね」と直接謝罪したのだ。
ジャニタレがスキャンダルについて言及することは少ないのだが手越のキャラクターもあってか、そのような時間が設けられた。
直接、手越からの言葉を聞いたファンは「直接聞けてよかった」と喜んでいた。しかし、公演に入れなかったファンは「聞きたかった……行けばよかった……」と落胆したのだ。
MCだって毎回違う。KinKi KidsのコンサートはMCが長くて有名であり、最長で1時間も話し続けることがある。もちろん毎回内容は違うので、ファンにとってはそれだけでも何度も行く価値はあると言える。
■2)地方ごとに違う楽しみ方
全国ツアーが決まると友人から「どこ行く予定?」と連絡がくる。
「北海道は行きたいよね、ごはんおいしいし」「宮島行きたいから広島はどう?」という旅行がてらコンサートを見に行くというアラサージャニヲタも多い。
アラサーにもなるとお金に余裕もあるのでコンサートだけではなく、それに観光であったり、ごはんであったり……ちょっとしたプチ贅沢遠征ができるようになるのだ。
開演前に観光をしてコンサート会場に入り、コンサートが終われば、気の合う仲間たちと地方の美味しいごはんを食べながら飲む。感想を語らいながらのお酒は格別だ。そんなことをいくつかの地方で楽しむ。
また、好きなジャニタレがバラエティ番組の地方ロケなどで訪れた場所をあらかじめ調べておいて、ついでに立ち寄ったりもできる。普段なかなか行くことができないので、一石二鳥なのだ。
■3)細かい演出の違い
ジャニーズのコンサートにおける演出は、他のアイドルや舞台に比べて凝ったものが多い。ステージの形から照明レーザー、衣装の細部にわたる部分まで……とても1回では見きれない。
1回目は担当の立ち位置を確認、2回目は気になった箇所の確認、3回目は衣装を双眼鏡で見てみよう……などと、毎回それぞれ着眼点が変わる。タレントのスニーカーのかかとをよく見てみたら、まるでディズニーランドにある“隠しミッキー”のように小さいグループロゴがあるかもしれないのだ。
隅々まで楽しもうと思えば、何度見ても飽きないコンサートになっているのがジャニヲタをひきつける魅力になっているのだ。
このようにジャニヲタがコンサートを何度も見るのには理由がある(これもほんの一部だろう)。この楽しさを知らない一般の人は本当に人生、損していると思う。ちょっとでも気になったら、地方遠征を一度してみてほしい。繰り返すが、コンサートを見た後のビールは格別なのである。
多くのジャニーズタレントが、一番好きな仕事はコンサートと言ってくれている。彼らが全力で毎回制作してくれているコンサートを私たちも全力で見なければならないのだ。
ただ、ひとつ注意したいのだが、婚期は必ず遅れます。
<著者プロフィール>
菱ユーキ(ひし・ゆうき)◎ライター。ヲタク経験値レベル100。ジャニヲタ歴30年。アラサーヲタクの代弁使。かつてはメルマガで約1万人以上もの購読者を誇る。
<イラスト>
星野グミ子(ほしの・ぐみこ) ◎イラストレーター。バンドや俳優、アニメなど何かといろんなジャンルの沼にはまりがち。オフィシャルブログ『ハマったもん勝ち 沼ガール!』を運営中。