目次
Page 1
ー 自分は被害者側に見られうる立場に置かれている
Page 2
ー 自分のイメージを損なう話題は扱いたくない
Page 3
ー ジャニーズの闇はテレビ局も“共犯”
世の中には「ヤバい女=ヤバ女(ヤバジョ)」だけでなく、「ヤバい男=ヤバ男(ヤバダン)」も存在する。問題は「よいヤバさ」か「悪いヤバさ」か。この連載では、芸能人や有名人の言動を鋭くぶった斬るライターの仁科友里さんが、さまざまなタイプの「ヤバ男」を分析していきます。

第26回 櫻井翔

 東山紀之など、報道番組に携わるジャニーズ事務所所属のタレントが、故・ジャニー喜多川氏の性加害に関する見解を述べ始めています。キャスターとして出演しているのなら、触れない訳にはいかなかったのでしょう。

 けれど、気の毒だなぁと思ってしまうのです。今回の件を、会社員に置き換えるとこんな感じではないでしょうか。一代でエンパイアを築いたカリスマ経営者がいて、業績から言えば神レベルの人だったけれど、ウラで悪いことをしていることは昔から囁かれていた。それが経営者の死後、明らかになり、それについてどう思うかを従業員に尋ねているー。

 従業員にしてみれば、自分がやったことでなくても、神妙にふるまわないといけないでしょう。だからといって、謝るのも変ですし、自分が勤めている会社を真っ向から批判したら、社内での居心地が悪くなるのは目に見えています。会社の社会的評判が落ちて、経営状態がヤバくなれば、自分も困ってしまいます。そうなると、あえて核心をそらしたり、奥歯にものをはさんだ言い方でうやむやにするしかない。こういう時に前に出て、全てを引き受けるべきなのは、やはり現社長ではないでしょうか。

「news zero」(日本テレビ系)のキャスターを務めている嵐・櫻井翔も6月5日にコメントを発表しました。上述したとおり、私は今回の件をタレントがコメントする義務はないと思っていますし、SNSがこれだけ発達した世の中だと、どれだけ注意深く選んでも、彼の言うことに納得しない人もいるでしょう。なので、タレントは損するだけの負け戦であることが予想されるのですが、彼のコメントを聞いて、タレントがキャスターを務めることで起きるヤバい事が浮き彫りになったように感じたのでした。

自分は被害者側に見られうる立場に置かれている

櫻井氏は、以下のように発言しています。
「今回の件ですが、私には2つの側面があると思います。ひとつは今、問題の責任が問われている事務所に所属しているということ。もうひとつは、自分は被害者側に見られうる立場に置かれていることです」
「私にとって、ふたつのコメントをすることはむずかしいと考えていました。今もまだどの立場で、どうお話できるのかむずかしいのですが、お伝えしたいことの一つは憶測で傷つく人たちがいるということです」
「発言すること自体がまた憶測を呼び、広げ、無関係な人々まで傷つけることにつながるのではないかと恐れています」