今年5月からNetflixで配信されている『サンクチュアリー聖域ー』で主人公を務めて話題となった、俳優の一ノ瀬ワタル(38)。
舞台『ひげよ、さらば』で猫を演じた
お金欲しさで相撲界に興味を持った、実は優しくて生意気な不良が、相撲の魅力に気づいてのめりこんでいく、土俵の上で激しくぶつかりあう“大人の青春”作品に、世界中が心を打たれた。
そんな一ノ瀬は、“土俵”から舞台を変えて、東京・渋谷で9月30日まで、大阪で10月9日まで行われていたPARCO劇場開場50周年記念シリーズの舞台『ひげよ、さらば』に猫の“黒ひげ役”として出演。
横綱を目指す力士とは毛色の異なる“猫”になった、今回の舞台の感想は?
「『ひげよ、さらば』では、猫が擬人化された役を演じましたが、僕は猫が大好きなのですごく良い機会でした。
僕の姉が保護猫活動もしているので、二本足と呼ばれる人間たちがもっと猫に優しい世界を作っていれば……と、猫たちのつらい経験が身に沁みましたね。劇中では、猫の擬人化モードと本当の猫モードがあって、猫特有の動きを稽古で練習しました。
例えば、人間が警戒するときは後ろに重心が集まりますが、猫は前重心の構えになったりと“猫ならでは”の動きを身につけるのが面白かったです」
舞台への出演は8年ぶり。ドラマや映画とは異なり、観客の反応が見える舞台は、やはり緊張もある。
「舞台はカーテンコールのときにお客さんの顔がしっかり見えるので、それがすごく気恥ずかしくて。あの瞬間が一番緊張しているかもしれないです(笑)。
『サンクチュアリ」の江口監督と『ひげよ、さらば』の蓬莱さんは、“妥協が一切ない”という点で同じです。撮影中、公演期間中にも、リアルタイムでダメ出しがどんどんきて、そこを直して作品を良くして、常に上を目指しているんですよね。
『ひげよ、さらば』ではラップをするシーンがあったんですが、元々は違う演出だったんです。ただ、台本を読み合わせているときに、“ラップっぽくした方がいいね”となって、ビートの刻み方やノリ方、韻の踏み方などを、細かく勉強しました」
舞台では、さまざまな性格の猫が登場する。
「この中で一緒に暮らすとしたら、柄本時生さんが演じる“片目”という猫を選びます。本当は優しいのに不器用で、2本足の人間のことも信用できずにボロボロ。
“キャットフードの缶の底を舐めたことだけあるけど最高だった”というセリフがあるんですが、自分が家に連れて帰って、猫のごはんの缶詰を沢山食べさせてあげたいです」