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 視聴率的に苦戦している作品の多い春ドラマ。ドラマウォッチャーとして知られる辛口評論家・今井舞氏に、春ドラマを斬ってもらった。

 今期、今井さんが驚いたのが、嵐をトップにするため本気を出してきたジャニーズ事務所の動きだったそう。

「『世界一難しい恋』(日テレ系)は、普通の恋愛ドラマでは使えない大野智をどうしたら使えるか考え抜いて、ちんちくりんの恋愛弱者という、これまでのジャニーズではタブーだったことを逆に解禁してしまうという荒業を使って、見ている人に“なんか大野クン、かわいい”と思わせることに成功しています」

 15.5%という超高視聴率で始まった『99.9―刑事専門弁護士―』(TBS系)は、木村拓哉の成功例を踏襲していると分析。

「決して演技が上手ではない松本潤を神輿に乗せるにはどうするか考え、片桐仁、香川照之、岸部一徳といった演技巧者で周りを固めることでチームプレーを構築して、最終的には主演の松潤の手柄にしてしまうという、昔のキムタク方式をとった。脚本も練りに練った面白いものにして、どうしたら話を見てもらえるか考えていますよ」

 今期のベストは「毎度ですが」と前置きしたうえで、宮藤官九郎脚本の『ゆとりですがなにか』(日テレ系)に決定。

「“ゆとり世代”とひとくくりにされる悲劇という、目のつけどころがさすがだなと。ただ、今回はいつものような小ネタ大盛り感はなく、ゆとり世代もその下の若者に煮え湯を飲まされ、板挟みになっている、というリアルな苦悩を描いて、作風は1歩まじめ寄り。 毎回、いちばんはクドカン作品ってのもどうかと思いますけど、やっぱり面白くて新しい物語を作ろうとする姿勢って、見る側に伝わりますよね」