エネルギー補給のつもりが疲れを招いている?
疲れがとれないときや大事な会議の前などに、栄養ドリンクやエナジードリンクを1本キュッと飲んで気合を入れるという人も多いですね。
気になるところは、栄養ドリンクやエナジードリンクの多くは糖類をたくさん含んでいることです。
糖類とは、糖質の中でもブドウ糖や果糖など吸収の速い糖質のことで、血糖値を急激に上昇させます。そして急に上がった血糖値を下げるためにインスリンが働き、血糖値が急激に下がってしまうのです!この血糖値の乱高下は疲労感を増すだけでなく、体の糖化を招きます。糖化とは、”血液中に余った糖分が体内のたんぱく質と結びつくこと”で、細胞を老化させてしまいます。
糖化は、しみやしわの原因になるだけでなく、血管にダメージを与えて動脈硬化を促進します。
あるエナジードリンクは、100ミリリットルあたりで11グラム糖質を含んでおり、1本250ミリリットル飲むと27.5グラムもの糖質をとることになります。WHO(世界保健機関)は砂糖の1日の摂取上限目標を25グラムとしているので、1本のむだけでも砂糖の1日摂取上限量をオーバーしてしまうのです!
カフェインの常用癖が疲労回復を妨げる!
また、エナジードリンクは、覚醒作用や交感神経の興奮作用があるカフェインを多く含んでいます。
そのため眠気覚ましや集中力アップに使われることが多いようです。カフェインの覚醒作用は3―5時間ほど持続しますが、とり続けていると耐性ができてしまい、量や頻度が増えてしまう事があります。WHOのカフェインの1日の摂取量の基準は300ミリグラムで、製品によって含有量は異なるものの、栄養ドリンクなら6本程度、エナジードリンクなら2-3本程度になります。
1日にそんなに飲むことはないと思いますが。カフェインはコーヒーや紅茶、ウーロン茶にも多く含まれており、目覚めの缶コーヒー、眠気覚ましにエナジードリンク、午後の一息にコーヒーというパターンでカフェインの多い飲み物を1日中飲んでいる人は結構いるかもしれません。
次の表に各飲料のカフェインの摂取量をまとめましたので参考にしてみてください。
また、栄養ドリンクやエナジードリンクに限ったことではありませんが、カフェインをとりすぎると、入眠や睡眠の質を低下させる可能性があります。疲労回復に必要な睡眠の質が落ちると、朝すっきり起きられなかったり、昼間に強い眠気を感じるようになります。そこでまたカフェインをとると悪循環です。
栄養ドリンクやエナジードリンクを飲まない人でも玉露や濃い緑茶、ウーロン茶、をお水代わりに飲んでいると意外に多くのカフェインを摂取してしまっていることがあります。 お茶を飲むなら麦茶やほうじ茶、ルイボスティーがおすすめです!これらはカフェインを含んでいません。日本代表選手が利用するナショナルトレーニングセンターのダイニングでも麦茶が提供されており、特に疲労回復に対して意識の高い選手はプライベートでもこれらのお茶をあえて選んで飲んでいます。
炭酸水のさまざまな効能
では、なにを飲んだら元気でいられるでしょうか? それは、炭酸水です!
炭酸水は、糖類やカフェインを含まず、胃腸を整える働きがあります。
エリートアスリートたちも炭酸水を飲んでいることが多いです。練習後の疲れたときに飲むと胃腸がすっきりして、そのあとの食事もとりやすくなります。炭酸水は100~200ミリリットル程度なら食欲を増す効果もあるため、食欲がないときにもおすすめです。体温低下を抑制する作用があるとの報告もあり、冷え性やダイエットの効果も期待できます。
ただし、500ミリリットル以上飲むとおなかが膨れてしまうため、食事がしっかりと取れなくなる可能性があります。どれだけ炭酸水を飲んでも、エネルギー不足、栄養不足では疲労回復できませんので、飲むタイミングと量には注意が必要です。
炭酸水のお風呂も効果的
また炭酸水のお風呂は、血行促進に効果があり、運動後の疲労回復につながることから、アスリートはよく利用しています。海外遠征先のホテルでもバスタブがあるところを指定することが多く、その際には炭酸泉の入浴剤を利用して疲労回復やリラックスをしています。
また、38~42度のお湯に1~2分、8~12度の水に1分を繰り返す交代浴も疲労回復に効果があるといわれています。オリンピック時に選手村外に設置される日本人専用のリカバリー施設であるハイパフォーマンスセンターでも炭酸浴とともに交代浴が取り入れられており多くの選手が利用しています。
食事ではありませんが、こうした方法も活用してみてはいかがでしょうか?