世界中を巡る著者が、現地の健康トレンドを毎週お届けします。
日本だけ、癌が増えている!
日本人の2人にひとりが、生涯に一度は癌と宣告されます。3人にひとりが、癌で死にます。先進国のなかで、癌の死亡者数が増えているのは日本だけです。
アメリカは70年代から癌の予防に取り組み、食事を変えることによって、癌による死亡者数を減らしました。
増加する一方だった癌の死が、1992年から減少に転じたのです。
アメリカのみならず、世界が認めた全粒穀物
アメリカで、「癌や心臓病のリスクを減らす」と法的に表示できる食品があります。全粒穀物(ホールグレイン)です。
世界保健機関や国際連合食料農業機関は、全粒穀物は肥満や糖尿病、心臓病のリスクを低下させると発表。
アメリカ国立がん研究所は、全粒穀物の大腸がんのリスク低減を認め、アメリカ心臓協会や世界がん研究基金、アメリカがん協会は、全粒穀物を推薦します。
78万人以上にものぼるイギリス、スカンジナビア、アメリカでの調査があります。
1日に70gの全粒穀物を食べた人たちは、2割以上も死亡者数が減少しました。全粒穀物が生活習慣病を抑え、より長生きすることが証明されたのです。
食事を変えると、徒歩30分と同じカロリー消費
アメリカの健康食リストの1位に輝くのは、全粒穀物。
その効果は、肥満、高血圧、動脈硬化などの生活習慣病の予防だけではありません。基礎代謝を上げます。全粒穀物を食べると、1日に100kcalも多くカロリーが消費されます。
100kcalは徒歩30分に同等し、体脂肪率、とくに腹部の脂肪を減らします。
白いほど癌になる
全粒穀物とは、精製されていない穀物のことです。お米なら、玄米。小麦粉なら、白くない全粒粉。蕎麦なら、挽きぐるみ蕎麦粉。
精製された小麦は、95%もの食物繊維とビタミンEを消失します。そのほか多くの栄養素とともに、ミネラルも失います。
栄養のない単なるでんぷんになった白い小麦粉は、肥満の原因となるだけではありません。血液への吸収がよすぎるために、血糖値を急激に上げます。
血糖値の急激な上昇はインシュリンの大量分泌を招き、これが繰り返されることによって、さまざまな生活習慣病が引き起こされるのです。
また小麦に含まれるグルテン(タンパク質)は、腸の炎症を招き、栄養素の吸収や老廃物の排泄機能を阻害します。
小麦粉は、麻薬に例えられるほどの中毒性を指摘され、食パン一枚は角砂糖8個分の糖質があり、「パンは白いほど癌になる」とも言われているのです。
第2の脳「腸」に効く!
全粒穀物は、食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富に含まれた完全栄養食です。食物繊維が血糖値の変化を緩やかにし、コレステロール値を低下させます。
また第2の脳と呼ばれる腸に優しく働きかけ、腸内フローラを改善。便秘や下痢、慢性の頭痛を治め、副腎疲労、アレルギー症状を緩和。自己免疫を高めます。
茶碗一杯で、インフルエンザの予防!
全粒穀物の理想的な摂取量は、1日48g。およそ茶碗一杯です。それだけで基礎代謝がアップし、生活習慣病を予防し、長生き効果があります。
玄米、全粒粉以外では、デュラム小麦のセモリナ(粗挽き)のスパゲティ。蕎麦は挽きぐるみ蕎麦粉。豊富なビタミンB1が、脂肪の燃焼を助けます。
蛇足ですが、世界的に有名な病院「メイヨークリニック」は、季節性インフルエンザの予防に全粒穀物をあげています。
石澤義裕(いしざわ・よしひろ)◎デザイナー。1965年、北海道旭川市生まれ。札幌で育ち、東京で大人になる。出版社勤務、デザイン事務所、編集プロダクションなど複数の会社経営の後、2005年4月より建築家の妻と夫婦で世界一周中。生活費を稼ぎながら旅を続ける、ワーキング・パッカー。世界中の生の健康トレンド情報をビジネスライフで連載中。