挫折した天才ピアニストが自由奔放なヴァイオリニストと出会い、夢や恋愛に悩み、生きることとは何かを考えさせられる青春漫画『四月は君の嘘』がとうとう舞台化。今回、天才ピアニスト・有馬公生を演じる安西慎太郎と、幼馴染みの渡亮太を演じる和田雅成の対談が実現!

『週刊女性』本誌(2017年8月1日号)に収録しきれなかった、二人のスペシャルトークをお届け。本誌とあわせてお楽しみください。

左から和田雅成、安西慎太郎 撮影/森田晃博

シンタは、かわいい、嫌われないかまってちゃん

――本誌掲載の対談で判明しましたが、安西さんに甘えん坊な面があるのは意外でした(笑)。

安西 かまってちゃんです(笑)。

和田 いい意味のかまってちゃんですね。かわいい、嫌われないかまってちゃん。それが公生をやるんです。

安西 ふふふ。そうなんだよね。

――今作ではプラトニックな切ない三角関係が描かれますが、三角関係の恋って経験したことあります?

安西 ないですね。

和田 俺、割とビビりなんで、好きになりそうな子に他に好きな人がいたら、その時点で引いちゃいますね。だから経験ないです。

――「こっちを向かせてやる!」みたいなのは、ないんですか?

和田 今だったらわからないけど。昔はないですね、怖くて。

安西 逆だわ。

和田 行く?

安西 昔はあったね。三角関係とかではないんですけど。好きな女の子に他に好きな人がいても行くタイプでした。今はもうすっかり大人になっちゃって(笑)。

和田 さっき(本誌の対談で)子どもだって言ってたじゃない(笑)。

――恋の部分では大人になった?(笑)

安西 はい(笑)。

和田 でもシンタ(安西)、昔、そういうのありそう~。

安西 ありそうでしょ? 今なんて、もう人を好きになることすら忘れてきたからね。

和田 アハハハ! なんだそれ? 深いのか深くね~のか(笑)。

安西 異性を好きになることを忘れ始めてる(笑)。

――恋愛は必要なくなってる?

安西 根本はやっぱり、男子とワイワイするのが好きなんですよ。

和田 うん。

安西 だから、そういうのは必要なくなってきたね、完全に(笑)。

和田 あぁ~。でも、どうだろう? やっぱり恋をしてる人は輝いてますよね。だから、理不尽に恋に落ちるんです!(笑)

安西 そういう意味では、ホントにその感覚がなくなってしまったぶん、舞台上で疑似体験ができるので楽しみですけどね。

中3の頃は、女の子としゃべるのがすごく照れ臭かった

――今作は中学3年生のお話ですが、中3の頃はどんな男の子でしたか?

安西 何にでも興味をもって挑戦したり体験したり。もう好奇心の塊でしたね。

安西慎太郎 撮影/森田晃博

――一番夢中になってたものは?

安西 尾崎豊さんが好きで、ハマってました(笑)。

和田 へ~、そうなんだ。

安西 生き方もですけど、一番は、きれいごとじゃない歌詞の内容に影響を受けたんで。さらにその尾崎さんの声も加わって虜(とりこ)になっていましたね。

和田 僕は野球をずっとやってて、その頃は女の子としゃべるのがすごく照れ臭かったですね。

安西 ああ、一緒だ。

和田 ウソ?

安西 ほんとだから(笑)。女の子とあんまり関わりがなかった。

――モテたんじゃないですか?

和田 いやいや、も~、野球しか興味なかったんで僕は。

安西 僕、一時期モテたことがあって。中3の時に体育祭で団長やりまして、そこから半年くらい激モテしちゃって。わ~、マジきたなと思ったんですけど。一番モテたい卒業時期にはモテキのピークが過ぎちゃって。

和田 アハハハハハ!
 
安西 でも、ボタンを欲しがる男の行列がすごかった(笑)。男の後輩からは、めちゃめちゃモテてましたね。

和田 ビックリした~。そういうことね(笑)。

安西 最後はタンクトップまでなくなった(笑)。

和田 卒業式の帰り、裸じゃん(笑)。

――お互いの素顔を一言でいうと?

和田 さっき自分でも言ってましたけど、子どもです(笑)。すっごい子ども。だから自分の気持ちにウソをつかないですね。正直です。それはいつも感じますね。きっちりしないといけないところはきっちりしてますけど、今は遊びたいんだ~っていうときは遊びたいモードでくるし。しっかり自分の意思に従ってるという感じはします。

安西 和田くんは、すごく野心を持ってる人だなって感じてます。あと自分に厳しい人。それは稽古場にいるときとかに感じることなんですけど。“これくらいでいいか”っていうひとつの正解があっても、すぐ正解を導き出さないんですよね。

和田雅成 撮影/森田晃博

――普段見せる素顔には面白い部分もありますか?

安西 面白いですね。僕、面白い人じゃないと、こんな仲良くなれないんで(笑)。

和田 アハハハハ! なんだよ、それ。

安西 いろんな面白さを兼ね備えた人ですね。笑えるのもそうですし、勉強になることもそうですし、ほんとにいろいろな魅力が詰まってる人だと思います。

――お互いの意外だなと思うところは?

安西 意外と身体がすごい! 筋肉質で男らしい身体してますね。

和田 シンタの意外なところは、言えないことしか思いつかない(笑)。

安西 なんかあるでしょう? 俺は、常に想像を超えてるから(笑)。

和田 うるさい(笑)。でも、子どもっぽいところは、最初ホントに意外だった。今は慣れましたけど(笑)。

公生は、周りから求められる人だってことを理解して演じたい

――お互いに舞台で共演してきて、感心するところは?

和田 子どもの部分もあるし、おちゃらけるのが好きなところもあるんですけど、シンタはブレない人なんで。やっぱり作品とか稽古に対する姿勢とか、誰よりも作品に責任を持とうと思ってるヤツですね。主演のときは座長として自分がしっかりと引っ張っていこう、背中で見せようという部分が、すごく刺激を与えてくれる役者さんです。

安西 ……。

和田 ないんかい!(笑)

安西 アハハハ! 初めて『合唱ブラボー!』で出会って、『戦国無双』、『K』そして今回ですけど、会うたびにオーラが増してるんですよね。人として大きくなってるっていうことをすごく感じます。で、その上で毎回会うたびに、舞台上でも成長してる。俺が言うと偉そうになっちゃいますけど。確実に結果を残してるってことが、一番すごいと思ってます。

左から和田雅成、安西慎太郎 撮影/森田晃博

――この作品で、何を一番大切にして演じたいと思っていますか?

和田 渡はチャラくて、とてもいいやつなんですけど、幼馴染みの公生に与える影響ってすごく大きいと思っていて。ときどき、すごくいいこと言うんですよ(笑)。公生が踏み出す一歩を、渡が後押ししてる部分があると思うんですよね。「理不尽に恋に落ちるんだ」とか、「星は夜、輝くんだぜ」とか、渡じゃないと言えないんじゃないかなって。普通に聞いたら“何それ?”って思いそうですけど、渡が言うとまったく嫌味がないし。そこは素直に自分の言葉として発したいなと思いますね。

安西 公生は逆に、影響を与えるときもありますけど、大半が影響を受ける側なんで、受ける側っていうことと、あとはすごく人に求められるっていうか。いろいろな人たちから必要とされる人だなって思うんですよ。

――みんなが、公生がピアニストとして復活することを待っている。

安西 だからそういう人間であるっていうことを、ちゃんと理解してやっていきたいなと思いますね。

■舞台『四月は君の嘘』とは?

 月刊少年マガジンに掲載され、コミックスの累計が500万部を突破した同名の人気漫画を舞台化。天才ピアニスト・有馬公生は、母の死をきっかけにピアノから遠ざかる。そんな公生を心配する幼馴染みの澤部椿や渡亮太と学生生活を送るが、中3の4月、同い年のヴァイオリニスト宮園かをりと出会い再び鍵盤に触れることに。かをりとの日々が公生の世界をカラフルに変えていく。

<公演情報>
東京公演:2017年8月24日(木)~9月3日(日) AiiA 2.5Theater Tokyo
大阪公演:2017年9月7日(木)~9月10日(日) 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
公式HP:kimiuso-stage.com/

<プロフィール>
あんざい・しんたろう◎1993年12月16日、神奈川県生まれ。舞台『K』など2.5次元のほか、さまざまなジャンルの舞台で主演を務め、繊細な演技で観客を作品に引き込む実力派。日本テレビ系連続ドラマ『男水!』にもメインキャストで出演。

わだ・まさなり◎1991年9月5日、大阪府生まれ。A型。舞台『弱虫ペダル』、『おそ松さん on STAGE』、舞台『刀剣乱舞』等、話題作に次々と出演し人気急上昇中。テレビ神奈川『猫のひたいほどワイド』に月曜日のレポーターとして出演。

(取材・文/井ノ口裕子 撮影/森田晃博)