《世界の方々へ 麻央の想いが 届きますように…》
6月30日に、市川海老蔵が妻だった小林麻央さんのブログ『KOKORO.』を英訳して少しずつアップしていくことを発表し、同日スタートした。《私たちと同じように乳がんで苦しんでいらっしゃる方や そのご家族の力に少しでもなれたら》と、英訳する理由を綴っている。
「海老蔵さんはこれまで、海外公演を積極的に行ってきました。世界での知名度、人気はともにトップクラスの歌舞伎役者ではないでしょうか。今年7月にもNYで公演を行う予定だったのですが、“闘病中の麻央さんのそばにいたい”ということで中止になりました(スポーツ紙記者)
昨年11月にイギリスのBBCは、麻央さんを「世界に影響を与えた100人の女性」の1人に選んでいる。彼女の病気と闘う姿が、人々の心を動かしていることが知られていたからだ。
最初に英訳されたのは、'16年9月の『なりたい自分になる』。英訳では『Being myself』というタイトルがつけられたこの文章には、国内外から3000近いコメントが寄せられた。中には英語だけでなく、中国語、フランス語などでの書き込みもあった(以下、編集部訳)。
《あなたの遺志は世界中に受け継がれる》
《ただのがんと闘った記録というだけでなく、全人類がどう生きるべきかを気づかせてくれるブログでした》
《麻央さんの人生は恵まれています。生まれてからずっとそばに麻耶さんという人がいたのだから》
《私たちは、彼女がしてきたすべての愛の振る舞いから、自分たちの生活がどれほど貴重であるかを学び、認識してきたはずです》
麻央さんの言葉は、海外にも“生きる希望”を伝えているようだ。彼女のブログが注目されるのは、知名度だけが理由ではないと、放送プロデューサーのデーブ・スペクター氏は指摘する。
「がんや難病の患者さんが闘病する姿を見せるのは、欧米では普通のこと。タレントや著名人たちも自分の病気のことをものすごくしゃべりますからね。日本はどちらかというと病気などに関しては閉鎖的。日本人が自らの病気を発信するイメージがないので、麻央さんの行動は欧米の人にとって非常に目新しいものだったと思います。しかも、決してオーバーに“私不便している”と言ったりはしないわけですから」
海外ではあまり見られない控えめな姿勢が、好ましいものと受け止められた。言葉遣いも、麻央さんが注目された理由のひとつらしい。
「麻央さんのブログの文章は文字が少ないので、欧米人には俳句のように見えるんですね。最近は海外でも俳句が知られるようになっていて、日本のミニマルな言葉遣いや、抑制のきいた表現が注目されています。麻央さんのブログは以前から人気で、海外のファンが英訳していました」(デーブ氏)
繊細な文章だけに、英語でちゃんとニュアンスが伝わっているかが気になる。翻訳家の片山奈緒美さんは、「基本的には直訳されている」と話しつつも、原文からの改変部分をこう指摘する。
「最初に英訳されたブログの《私は力強く人生を歩んだ女性でありたいから 子供たちにとって強い母でありたいから》という一節は、英訳版だと“力強く”という言葉は出てこないんですね。
かわりにcolorfullyという単語が使われています。これは“色彩に富んだ”や、“いきいきとした”という意味。ただ強くたくましく生きたというより、“いきいきと自分らしく生きる女性でありたい”という意志が表現されていると感じました」(片山氏)
病気のカゲに隠れることをやめるためにブログを始めることを説明する文章も、麻央さんの強い気持ちが明快にわかるように訳されている。
「《でも、一度きりの人生なので、なりたい自分になろうと決意できたことはうれしいです》という文章があるんですが、英語では《なりたい自分になることに責任を持つ》という訳し方になっているんです」(片山氏)
これまで麻央さんがどんな人生を送ってきたのか知らない人でも、彼女が持つ思いを理解できる文章になっているのだ。心配りのきいた訳文をいったい誰が書いているのか、海老蔵のマネジメントを担当する会社に問い合わせた。
「海老蔵さんから依頼されて、弊社のスタッフが英訳しています。ほかの言語にも訳してもらえないかというお問い合わせもいただいております」
ひとりでも多くの人々に、麻央さんの言葉が届き、世界じゅうに希望があふれますように!