「ひとり旅ツアーを始めた20年前は参加人数が年間2000人でしたが、’04年には1万人を超え、’16年には4万8000人に。人気は着実に上がってきていると感じます」
そう話すのは、大手旅行会社『クラブツーリズム』国内コミュニティ旅行センター支店長の松村貴夫さん。
週刊女性のアンケートで「選べるなら夏旅は誰といちばん行きたいか」と尋ねたところ、1位は「配偶者・恋人」。次点の「家族みんなで」に続き、なんと「ひとりで」が「友人」と並んで3位にランクイン。その理由は、「のんびりできるから」(30代女性)、「思い立ってすぐ行けるし、行き先変更も可能」(20代女性)と、うなずけるものばかり。
松村さんによると、
「ひとりでツアーに参加される方の男女比は国内旅行で6対4、海外で7対3の割合で女性が多く、アラフォーあたりから増加する傾向が。特に、50歳以上の方々から人数がグンと増えますね」
子育ても一段落し、急に取れた休みや、ふと空いた時間に旅をしたいが、相手が見つからない。そんなとき、「ひとり旅」という選択肢が出てくるのだろう。
「おひとりさまという言葉も定着し、ひとり行動が世間に認知されてきたことも、ひとり旅の人気が上昇した理由でしょう」(松村さん、以下同)
不安なら、おひとりさま限定ツアーへ
一方で、「誰と旅に行きたくないか」という質問には、「ひとりで」の回答数が「義父母」と並んだ。「寂しいから」「感動を共有できないから」だという。
「そんな人は、おひとりさま限定ツアーに参加してみるのがおすすめです。普通のツアーに単独で入ると疎外感を感じやすいけど、全員がおひとりさまなら安心。すぐに友達になったり、一期一会の気安さからか、ご近所付き合いの相談やご家庭の悩みなど普段、人には話せない深い話をされたりする方もいます」
参加するうちに“新たな出会いの場ができた”“同じ趣味の人との会話が楽しめる”と、ひとり旅ツアーならではの魅力に開眼する女性が続出しているとか。
「リピーターになる率は、普通のツアー以上に高いんです」
さらに「食事はみんなで一緒に」「全コース添乗員同行」と不安を払拭させる工夫があったり、また反対に「宿は1名1室」「バスの座席は1人2席」と“ひとりの気楽さ”が担保されるツアーが増えてきているそうだ。
どんなプランが人気なのだろう。
「もともと旅好きの方が多いので、たいていの観光地は経験ずみ。定番の場所でも、地元民が好む穴場的なスポットに行けたり、プラスαの体験ができたりとワンランク上の旅が好まれます。個人だと1名での利用を断られてしまう上質な宿に泊まれる、ひとりではハードルが高いお祭りやテーマパーク、大自然を体験しにいけるといったプランも反響があります」
ひとり旅にはやっぱり抵抗があるという人に、旅行ジャーナリストの村田和子さんからこんな提案が。家族や仲間と出かけたときに、
「現地で、ひとりの時間を作るところから始めてみては? 日中はそれぞれ好きなように過ごし、夕食時に集まって自分の体験を披露するのは盛り上がりますよ」
自信をつけてから、ひとり旅にチャレンジ。ちなみに、海外でひとり旅デビューにふさわしいスポットは? 前出の秋本さんによると、
「台湾。近いし、治安がよく日本語も通じやすい。食事もおいしいし、ぜひ!」
<教えてくれたひと>
松村貴夫さん◎旅行会社『クラブツーリズム』国内コミュニティ旅行センター支店長。’00年に入社後、カナダ、エジプト、北陸、長野などへの旅行企画担当なども務めてきた旅のエキスパート
村田和子さん◎旅行ジャーナリスト。情報サイト『All About』旅の準備、お得、便利ガイド。消費者視点での旅の魅力や楽しみ方をテレビ・雑誌など年間100以上の媒体を通して紹介