「現役で等身大の高校生を演じられるというのは、ひとつの“武器”でもあったんです。でも、それがなくなった今、自分には何が残っているんだろうって。10代最後の年でもあるし、ここからがまたひとつ、勝負のときだと思っています」
高校を卒業し先日、誕生日を迎えて19歳になったばかりの広瀬すず。ついこの前まで、幼さが残る少女だった彼女も“もう、ヤダヤダ言って許してもらえる年齢じゃないですからね(笑)”と大人びた笑顔を見せる。
そんな彼女が今回、アニメ映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』(8月18日[金]全国公開)で、大ヒット作『バケモノの子』以来、2度目となる声優に挑戦。
「初めて声優をやったときは、台本の読み方すらわからなくて、ものすごく緊張したんですが、今回は楽しみながらやることができました。共演の菅田(将暉)さんとは初めてご一緒させていただいたんです。最初はどんな方かわからなかったので変に力が入ってしまったんですが、菅田さんから突然“何でも言ってください!”って(笑)。すごくみなさんとなじんでいて、本当にスゴい方だなって思いました」
広瀬が声を演じたのは、色っぽくて大人びた、クラスでも“マドンナ的”存在の中学1年生・及川なずな。中学生のころから仕事を始めた広瀬も当然、男子からの憧れの的……? と思いきや、顔を横に振る。
「中学生になると、男の子と女の子の間には何とも言えない距離感が生まれるじゃないですか。お互いに異性として意識し始めるというか。特に私は仕事を始めたこともあって、成長期の男の子はまったく話しかけてくれなくなっちゃって。当時はほとんど男の子としゃべった記憶がなく、マドンナの“マ”の字もない感じでした(笑)」
劇中では何度も時間が巻き戻され、そのたびに運命が変わる。もし過去に戻れるとしたら?
「中学のバスケ部時代に戻りたいです。あのときは大好きなバスケにひたすら没頭していました。でも、仕事が忙しくなって部活もやめてしまって……。もちろん、その選択があってこその今なので後悔はしていませんが、もし違うタイミングでお仕事を始めていたら、また違ったのかなって」
もともと体育会系で“負けず嫌い”という広瀬。ときに競技かるた、ときにバイオリン、チアダンスと、役柄に必要な“技”を身につけるため、猛特訓を重ねては、ものすごい集中力で周りの大人たちを驚かせてきた。
「毎回、周りについていくのに必死なんです。というより、スロースターターなので、最終的に焦って寝る時間を削ってやったり(笑)。今いただいている課題を一生懸命やるっていうのは目標ですし、この先も忘れちゃいけない大事なこと。でも、それにプラスして、今後はお仕事関係なしに何かガムシャラになれるもの、好きなものを見つけられたらいいなと思います」
こんなコメントも
■「花火」といえば……!
「地元(静岡)にいたときは、夏になると家族と一緒に花火をよくやっていました。実はあまり友達だけで花火をやったことがなかったんですが、2年前に映画『ちはやふる』のメンバーと花火をやったんです。それがすごく楽しくて! “夏”を感じました」
■泣き叫び女優!?
「昨年公開の映画『怒り』、今回の作品、『三度目の殺人』(9月9日公開)でもそうですが、感情をあらわにしたり泣き叫ぶシーンが多いんです。いつもはお腹の底から強く低い声を出すんですが、今回は中学生役ということで、声の強さよりも高さを意識しました。アニメーションだけど少女の“ナマナマしさ”が、声で伝わればいいなと思います」
<作品紹介>
映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』
とある浜辺の町に暮らす中学1年生・及川なずな(広瀬すず)。夏休みに入り、母親の再婚が決まり転校することになったなずなは、彼女にひそかに思いを寄せる島田典道(菅田将暉)を“かけおち”に誘う。花火大会の日、ふたりは町から逃げ出そうとするが……。