誕生して以来、地元の味として受け継がれ、いまなお進化を続けるソウルフードの数々。ボリューム満点の鉄板メニューや見た目も鮮やかなヘルシーメニューなど、“愛しのライス”は日本全国に。
オムライスとトンカツ! 夢のコラボが実現!
■ボルガライス(福井県越前市武生地区)
オムライスにトンカツをのせ、カレー以外のソースをかけた武生のご当地グルメ『ボルガライス』。オムライスにトンカツ! 圧巻のボリューム感がなんといっても魅力。お腹をすかせた子どもたちが喜ぶこと間違いなしの鉄板メニューだ。
「オムライスの中のご飯や、最後にかけるソースは、お店によって違うので、それぞれのお店で味の変化を楽しめます」
とは、ボルガライスが好きでたまらない、越前市の職員で結成された『日本ボルガラー協会』会長・ボルガチョフこと波多野さん。トンカツのかわりにメンチカツを出す店、オムライスの中はチャーハンだったりピラフだったりとさまざまだそう。
30年以上も前に誕生したと言われるその発祥については諸説あり、市内では『カフェド伊万里』『ジャムハウス』『江戸屋』の3店舗が有力とか。名前の由来も謎が多く、はっきりとしたことはわからない不思議な料理ともいえる。
ボルガライスを提供する店は協会の設立当初、5店舗だった。しかし、地元出身の漫画家・池上遼一氏にポスターを依頼するなどの協会のPRが奏功、知名度も上がり、現在では20店舗以上になった。また最近では、野菜入りあんかけ卵とじにトンカツをのせた中華風のものが登場するなど、それぞれの店が独自の創意工夫を凝らす展開を見せている。
サラダ感覚で食べられるヘルシーさも人気の秘密!
■シシリアンライス(佐賀県佐賀市)
「昭和50年ごろの喫茶店のまかない料理が始まりで、残り物の肉や野菜をご飯にのせてマヨネーズをかけただけの手軽な料理です」
と語るのは、佐賀県の町おこしボランティア団体『佐賀市はシシリアンライスdeどっとこむ』代表・中島さん。皿に温かいライスを敷き、その上に甘辛いタレで炒めたお肉と生野菜を盛り合わせ、マヨネーズをかけたものが基本形。新鮮な野菜をマヨネーズが彩り、見た目は本当に鮮やか!
名前の由来は、当時流行していた映画『ゴッドファーザー』のロケ地であるシチリア島から名づけられたというのが定説だ。
レトロな喫茶店のメニューだったということもあり、喫茶店自体の減少に伴い提供するお店がかなり減った時期もあった。しかし、市の観光協会や中島さんらの活動により、佐賀市内で提供する店は現在、約40店舗にまで増えた。
高価な食材を使わず、残り物で手早く作るまかない飯の精神を受け継ぐお店が多い。また、アレンジが簡単なので、家庭料理としても親しまれている。
発祥はまかない飯でも、最近はカフェやレストランで、ワンプレートにおしゃれに盛りつけたものも目にするようになったと中島さん。なかには佐賀牛などの高級食材を取り入れる店まで登場。シシリアンライスはさらに美味しく進化を続けているようだ。
その他のオススメフード
■えびめし(岡山県)
「ソースで炒めた真っ黒いえびチャーハン。もともとは渋谷の『いんでぃら』のオリジナルメニューという変わり種。現在は岡山流の味つけで岡山県民のソウルフードとして浸透している」(ご当地グルメ研究会の松本学さん、以下同)
■焼きカレー(福岡県)
「門司港が発祥といわれる焼きカレー。元祖焼きカレーの店といわれるのが昭和30年代から作り続けている『伽哩本舗』。余ったカレーに卵をのせてオーブンで焼いたところ、実に美味しかったことからお店のメニューとしたという逸話がある」
■KAHANライス(福岡県)
「飯塚市・嘉麻市・桂川町からなる“嘉飯地域”。この地域でとれたお米を使った創作オムライスが『KAHANライス』。10軒の飲食店で味比べができる。“お菓子のふるさと”としても知られているこの地域に縁が深い“卵”と温かい“人情”で“お米”を包み込んでおり、バリエーションも豊か。米どころならではの味わいを楽しんで」