『糖質オフ』したい人間が、寿司屋に行くこと自体が疑問
今回くら寿司が出すという「糖質オフシリーズ」。サイドメニューのラーメンの麺抜き、シャリの大きさを半分にしたシャリプチ、そしてシャリの代わりに大根の酢漬けを使用した新商品が提供されるそうですね。
実際私自身、シャリを残す人をお店で見かけることも多いので、糖質オフを謳うこうしたメニューを提案する気持ちはわかります。なかには、抜いたシャリを皿のあいだや湯呑みに押し込んだりするマナーの悪い人も多いので。洗浄時の負担を減らすための策とも考えられますよね、悲しい話ですが。
そして、そのシャリ抜きをしている人の多くは減量目的。私はそうした光景を見るたび、そこまでして寿司屋に足を運ぶということ自体どうなのかなと思うんです。
私自身、かつて数カ月に渡って、糖質制限を行っていたことがあったんだけど、糖質制限と一言でいっても、実は落とし穴もたくさんあって。単に商品に「糖質」と表示されていなければ良いというものでもないし、きちんとやろうと思ったら意外と難しくて、ある程度勉強する必要もあるのね。
本当に糖質オフしたいのであれば、それなりの覚悟を持って挑まなければならないのに、「お寿司を食べたい」という欲すら自制できない人が、大根ばかりをひたすら食べる根気を持っているとは思えないけどね。
それなら刺身を食べればいいじゃない
お店側もシャリさえ食べなければ「糖質オフ」になって痩せられると単純に考えているようなライトな層、なんとなく糖質制限ブームに乗っかっている客層を狙っているんだろうね。でも、お客さん側もお店側も、そうした気持ちで寿司と向き合っていいのかなと、私は外国人でありながら危惧してしまいます。
サイドメニューは色々あって良いと思う。だけど私は、いくら回転寿司とはいえ、シャリがないネタだけのものを「寿司」と名乗ることには、やはり違和感を持ちます。それなら刺身でいいじゃん、と。
寿司は何といっても日本の食文化のひとつでしょ。海外の寿司屋でやっているのなら、笑って済ませられる話なのかもしれないけど、日本の寿司屋がそれを率先してやるというのは、ちょっとどうかと思う。
まして、安くて気軽に行くことができる回転寿司は日本人のみならず、外国人、それこそ家族連れにも人気なわけ。
そうした場所で、たとえお金を払っていたとしても、シャリばかりを残すマナーの悪い食べ方をすること、そしてお店側もそれに対応して、寿司と呼べるのか疑問なものを出すということ。こうした悪循環に陥ってしまっている現状は残念な気がしますよね。
<構成・文/岸沙織>