ゲリラ豪雨の被害が全国で相次いだ今年の夏。秋になってからも、台風や秋雨前線など、水害を引き起こす危険因子が続々。引き続きじゅうぶんな注意が必要です。日頃何となく見ている天気予報も、4つのキーワードと天気図の見方をマスターするだけで、あらかじめ大雨に対する備えや心構えをもつことができますよ。

 

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 日ごろ、何気なく見ている天気図だけど、「見方がわかったうえで気象予報士の解説を聞くと、理解もしやすいですよ」とは気象予報士の蓬莱大介さん。高気圧に覆われると晴れ、低気圧や前線の近くは雨というのが、基本。

「前線は、暖かい空気や冷たい空気が進んでくる最前線のこと。そこでは雲ができやすい。さらに、等圧線というものがあります。線の間隔が狭いほど風が強いことを表しています」(蓬莱さん、以下同)

 高気圧の周辺は時計回りに、低気圧や台風の周辺は時計回りとは反対方向に風が吹く。

「だから、南からやって来る台風の右側は南風。この南風は特に強くなるのが特徴です。台風情報の予報円は“台風の中心がその円のどこかに進む可能性は70%”ということ。予報円が大きいと、それだけぶれ幅も大きいということです」

 台風シーズンに突入する時期。今後の天気予報で、“これが出たら大雨に注意”というキーワードは?

「まず、“非常に湿った空気”“上空の寒気”です。この2つは、雨雲が発達しやすいことを示しています。そして、“台風”“秋雨前線”

 台風の湿った空気が秋雨前線を刺激すると、離れたところでも大雨になることがあります。この4つには要注意です」

注意報、警報、特別警報…そのヤバさって?

「例えば、大雨注意報が出ても、みなさん、あまり気にしないですよね。でも、やみくもに出されてるわけじゃないんです。“その場所で過去に災害が起きたときと同じくらいの雨量になっている”もしくは“なる予想”のときに、大雨注意報が出ます」

 大雨警報の場合は?

「“その場所で、過去の雨量を参考に人が亡くなるような重大な災害が起こるおそれのある雨量になっている”もしくは“なる予想”のときに発表されます。ですので、警報が出たら、頭の中を災害モードに切り替えないとダメです」

 さらに大雨特別警報は、

「警報の基準をはるかに超えた、その地域で50年に1度レベルの大雨のときに発表されるものです。人が亡くなるかもしれない警報の基準を、すでにはるかに超えた状況で出る最後の情報。特別警報は、まさにサバイバル状況で出るものなのです。外出するとかえって危ない場合もありますので、周りの状況を見ながら、命を守る行動をとってください

【さらに大雨に関する気象情報】

★記録的短時間大雨情報

 1時間に100ミリなど、数年に1度レベルの猛烈な雨が降っている状況に出されるもの。川の氾濫や浸水のおそれがある。

★土砂災害警戒情報

 大雨警報が発表されているときに、その警報の基準を超えて、特に土砂災害の危険性が高まっている状況に出されるもの。

★指定河川洪水予報

 川ごとに出される。氾濫の危険性を“注意”“警戒”“危険”“発生”の4段階で示す。

こんな天気図に要注意!

★秋雨前線

秋雨前線のもとでは雷雨になりやすい

 秋雨前線は、南から夏の暑い空気と大陸から秋の涼しい空気がぶつかって停滞しているところ。ぶつかった暖かい空気は持ち上げられ、上空で冷やされ、雲となる。「ぶつかった空気の寒暖差が大きいと、雷雨になりやすいです。今年は南の海水温度が高いので、そのエネルギーで大雨になるおそれもあります」

★台風と秋雨前線

台風が秋雨前線を刺激すると、激しい雨に

「秋雨前線は数日停滞しやすい性質があります。そこに、台風の湿った空気が秋雨前線を刺激すると激しい雨になります。つまり、同じ場所で長時間にわたって大雨になるのです。例えば台風は鹿児島にあるのに、愛知で1時間に100ミリの大雨になるなど、台風と離れた場所でも注意が必要なパターンです」

★等圧線が混んでいる

10月は等圧線が込みやすい時期。爆弾低気圧が発生する可能性も

「10月になると大陸には徐々に冷たい空気が。夏の名残の空気と冬の始まりの空気がぶつかり、温帯低気圧として急速に発達することがあります。等圧線が狭いほど、周辺をまわる風は強い。低気圧は反時計回りなので、右側は南風が強く、左側は北風が強い。気象庁の正式な用語ではありませんが、急速に台風並みに発達する低気圧を“爆弾低気圧”と呼んだりもします」

<解説してくれた人>

◎蓬莱大介さん
気象予報士、防災士。『情報ライブ ミヤネ屋』で気象情報を担当。著書に『気象予報士・蓬莱さんのへぇ~がいっぱい! クレヨン天気ずかん』(主婦と生活社刊)

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