鈴木涼太 撮影/渡邊智裕

全国を回る“旅公演”は、僕たち俳優にとっても常設の劇場の公演とは違った魅力があります

 こう語るのは現在、12月までに全国70都市以上を回るミュージカル『アンデルセン』で、主役のハンス・クリスチャン・アンデルセンを演じるWキャストのひとり、鈴木涼太。

 劇団四季といえば、『ライオンキング』や『オペラ座の怪人』など常設の劇場で公演を行っている印象が強いが、カンパニーを組んでいろいろな都市を巡演する活動も行っている。

「『アンデルセン』の劇中歌に“今日ぼくは 着いたのだ 歌いながら ワンダフル ワンダフル すばらしい町”という歌詞がありますが、旅公演はまさにこの気持ちです。新たな公演地に着くたびに、その土地のお客さまに最高の舞台の感動を届けようと、気合が入ります」

 何か月もかけて全国のいろいろな場所を巡るため、普段では思いもしないハプニングも。

俳優たちで日常業務的なことをいろいろと担当するのですが、あるときは全員分の次の公演地までの切符を、劇場のロッカーに忘れてきてしまった人もいました。幸い、電車に乗るまで余裕があったので、あわてて取りに戻って間に合いましたが、あのときはちょっとハラハラしましたね(笑)」

【1】9:00-10:00この日の会場となる『パルテノン多摩』に舞台装置などを積んだ11トントラック2台が到着し、搬入開始。劇団の技術スタッフに、アルバイトを加えた総勢44人が手際よく荷台から機材などを運び出す。中には、俳優が衣装を洗濯するための洗濯機や乾燥機があるのも旅公演ならでは 撮影/渡邊智裕
【2】12:00ハンスを演じる鈴木が会場入り 撮影/渡邊智裕
【3】14:30キャスト全員、会場のロビーに集まってウォーミングアップを開始。バレエの基本的な動きや、『キャッツ』の劇中歌『メモリー』の歌詞を“母音だけ”で歌ったあと、普通の歌詞に戻して歌うという四季独自の発声練習で終了。すべてを1時間かけて行う 撮影/渡邊智裕
【4】15:40ミーティング開始。1回公演のため、終演後の撤収作業の段取りも確認。次回の公演地・前橋への交通アクセスの説明なども行われた 撮影/渡邊智裕
【5】16:00-16:50舞台上で場当たり。横幅や奥行きもそれぞれの会場で違うので、客席から見て見えにくくないか、俳優同士が重なっていないかなど、細かくチェック 撮影/渡邊智裕
【6】17:45メイクをしはじめ、身も心もハンスへ変わっていく。「初日はスタンディングオベーションになりました。今日も全力で頑張ります!」と、気合バッチリの鈴木 撮影/渡邊智裕
【7】18:30さあ、開演!衣装も決まって「では、いってきます!」 撮影/渡邊智裕
【8】20:50終演とともに撤収作業が始まり、俳優たちも息つく間もなく参加。女性陣は楽屋の清掃、男性陣は照明などのバラシ作業を手伝う。主演だからといって、特別待遇はなし。鈴木もヘルメットをかぶって、スタッフと作業 撮影/渡邊智裕
【9】22:30差し入れの品々を手に、会場をあとに。ちなみに、この日のスタッフたちも含めた完全撤収は24時20分ごろ。本当にお疲れさまでした! 撮影/渡邊智裕

<出演情報>
■ミュージカル『アンデルセン』
「童話作家として知られていますが、この作品はアンデルセンの恋愛を軸に物語が進む、大人の話でもあります。かわいい童話と美しい音楽を聴きながら、お子さまから大人の方まで楽しんでいただける作品なので、ぜひみなさん見にいらしてください!」(鈴木)