「最近、デビュー当時のことをよく思い出すんです。“あんなことで悩んでいたな”“こんなことを思っていたな”って。朝ドラの撮影が大変でくじけそうになったときも、(デビューした)当時は想像してもいなかった環境が今あるんだよって、その“ありがたみ”を自分に言い聞かせては乗り切ってきました」
先週最終回を迎えた朝ドラ『ひよっこ』でヒロインを演じきった有村架純(24)。ここ半年間、毎朝お茶の間に元気を届けてきた彼女だが、映画『ナラタージュ』では、妻帯者の教師・葉山(松本潤)との“許されない恋”に落ちる女子大生に。濡れ場にも挑戦するなど、体当たりの演技が話題を呼んでいる。
「こんな大人な恋愛モノに出させていただけるとは思っていなくて。どちらかというと正統派な役が多かったので、これまでと違うタイプの女性を演じられることは“楽しみ”でもあったんです」
だが、実際に役に入ってみると、苦しさがこみ上げることも。
「(演じた)泉は葉山先生のことを思い続けていて、でも葉山先生は泉をどう思っているのか気持ちが全然つかめなくて。“言葉のキャッチボール”ができないんです。こっちがストレートボールを投げても、違う方向に投げ返してくる。そんな相手を思い続けるなんて、わかり合えないというか、すごく苦しいと思うこともありました」
もし、そんな“狂おしい恋”をしている友達がいたら?
「う~ん……。後悔だけはしないでほしいな。当たって砕けても後悔しないなら、思い続ければいいと思うんです。でも“なんでこんな人を好きになったんだろう”って少しでも思うなら、やめたほうがいいよって伝えると思います(笑)」
先の見えない恋、ぶっちゃけどう思う?
「なんだかハッキリしないな~って(笑)。宙ぶらりんで、すごくもどかしいなって思いました。泉が寝込んだときに葉山先生が優しく看病してくれるシーンがあるんですが……なぜかムカついちゃって(笑)。心の中では“なんなんだろう、この人”って。やっぱり女性は愛されているほうが幸せだと思うんです」
有村が愛してやまないものは?
「戦隊ヒーローものの『五星戦隊ダイレンジャー』が好きなんです。ちょうど私が生まれた年の1993年のもので、リアルタイムでは見ていないんですけど、レンタルして何十回も見ました。語りだしたら止まりませんよ!(笑)」
少し前までは控えめで言葉数も少なかった彼女も、おっとりとした雰囲気はそのまま、ときに冗談を交えながらも自分の言葉で伝えていく。その変化を伝えると「ふふふ」とうれしそうに微笑み、
「これまでは周りの大人たちが引っ張ってくれて、私というものを引き出してくれていたんです。でも主演をやらせてもらうことも増えて、少しずつ意識が変わっていって、スタッフさんや共演者の方にはこちらから話しかけようって。その影響もあると思います」
今や国民的女優とまで成長した有村。これまでさまざまな苦難があったというが、それでもブレずにここまで来られたのは、とある監督の“忘れられない言葉”があったからだそう。
「現場で“余計なことすんな!”って言われたことがあって。『あまちゃん』などいろんな作品に出させていただいて、私なりに学んだものをフルに出そうとしているのを監督に見抜かれていたんです。“気持ちがあれば悲しい顔を作らなくても目から伝わってくるんだから、余計なことすんな”って」
これまで身につけてきたものを全部はがされ、まるで“生まれたて”のようになったと振り返る。
「その言葉をくださった廣木隆一監督とは『ストロボ・エッジ』に続いて『夏美のホタル』でもご一緒させていただいて、今のお芝居のベースにもなっているんです。ここまで来れたのもその“叱咤”があったからこそ。この言葉を大切に、次のステップに進んでいきたいです」
<出演情報>
映画『ナラタージュ』
10月7日(土)全国ロードショー
高校時代の部活の顧問教師・葉山(松本潤)に特別な思いを寄せる泉(有村架純)。大学2年生となり、再会した2人の思いは重なりかけるが、葉山には離婚の成立していない妻がいた。必死に忘れようと、泉は自分に思いを寄せる同級生・小野(坂口健太郎)と付き合い始めるが……。