NHK出身の堀潤(40)とTBS出身の有馬隼人(39)は、テレビ局は違うが就職活動を一緒に経験した同期アナウンサー。現在はフリーで活躍し、10月からTOKYO MXでそれぞれ番組のキャスターを務めるふたりが初めての対談。メディアの表舞台に立つ者としての本音とは──。

有馬隼人さん(左)と堀潤さん

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──堀さんが元NHKで、有馬さんが元TBSと、局は違いますが、ふたりは同期入社なんですね。これまで面識はあったのですか?

 就職活動で一緒になることはありましたよね。

有馬 僕らは2001年入社だから、就活でお会いしていたのは、もう17年くらい前なんですね。

 有馬くんは大学アメフト界のエースだったので、すごく印象に残っています。17年ぶりに会いましたが全然、変わらなくて、スターのオーラがあるなと思いました。

有馬 僕はアナウンサーを3年で辞めて、そのあとアメフト選手に戻っていた時期があり、一時、メディアから離れていたんです。その間もずっと、堀さんは“攻めている”なって思いながら見ていました。今の世の中で、これだけ直球で伝えられるメディア人はいないですよ。

 今回、縁があってお会いできて、僕も頑張って追いついていかなくては、と思いました。そういう意味では、同期ですが、先輩という感覚なんです。

 さっき2万円でこういういいコメントしてねって、お願いしたんですよ(笑)。

有馬 いえいえ……。

 でも、そう言ってもらえるのは、すごく励みになりますよ。僕らの同期には、元フジテレビの高島彩さん、元日本テレビの西尾由佳理さん、テレビ東京の大江麻理子さんなどがいて、みんな活躍しているよね。

有馬 そうなんですよ。なんか出遅れた感じです。

 そんなことないですよ! これから一緒に頑張っていきましょう。

TOKYO MXはアナウンサー再生工場!?

──そんなふたりが10月から担当される、TOKYO MX(以下MX)の番組について教えてください。

 僕が担当するのは、新番組『激論!サンデーCROSS』(8日スタート、毎週日曜昼11時59分)。平日の朝に約3年半放送している『モーニングCROSS』を、日曜にも展開していくということで、ニュース番組が少ない時間帯ですので、ぜひテレビをメディアとして有効に活用していただければと思っています。平日の参加型の内容を引き継ぎ、議論して考える場を作っていきたいですね。

有馬 僕は、10月から放送時間が変更になった『TOKYO MX NEWS』(月曜~金曜夕方5時59分)で、初めて番組キャスターを務めさせていただくことになりました。夕方の時間帯なので、いろいろな年齢層の方に見ていただけるように、多面的に発信をしていきたいです。

 MXは、僕らの仕事仲間の間では、“アナウンサー再生工場”と、言われているんです。数々の大先輩や僕らも、退局したあとにみんなMXでレギュラー番組を持たせてもらっているんですよ。

 ここに、有馬くんもついに来たか! って思いましたね。

堀潤さん

有馬 来てはいけないところでしたかね(苦笑)。

 そんなことない、そんなことない、すごくいいところですよ! MXはどの時間帯も固定で見てくれている人も多く視聴者がハッシュタグをつけながらツイートして参加してくれるんです。間違ったことを言うと視聴者が訂正を入れてくれることも……。

 テレビは完璧であれという考えはもう古いんですよね。MXは、みんなで作っていく“お茶の間”のような番組が多いのが、いいところだと思います。

有馬 以前は、テレビは情報がいちばん早いというのが当たり前だったけれど、今はだいぶスタイルが変わってきていますよね。そこにギャップやストレスを感じている視聴者もいると思うんです。

 そうしたなかで、議論ができるMXというメディアは、面白いポジションにいるんじゃないかなって思います。野球でいえば、クリーンヒットじゃなくて、ポテンヒットを打つような感じですかね。

 有馬くんの、そういうアスリート目線の考え方、今までにない新しい感覚で、すごくいいよね!

女性週刊誌は僕らにとって大事な情報源

──ところで、『週刊女性』のような女性週刊誌を、読まれることなんてありますか?

 やはり気になりますよね。常に監視されているんじゃないかって。

有馬 ははは(大笑い)。

 それは冗談ですが、女性週刊誌を読んでいる方って、50歳前後の年齢の方が多いそうですが、それって今のテレビのコアの視聴者層と合致するんですよ。だから、電車の中吊り広告やコンビニなどで見かけると、“こういうことに興味があるんだ”って、とても参考になりますよね。

有馬 僕は、母親と姉2人という女系家族で育ってきて、褒めておいて、その2倍突き落とすみたいな女性の本来の姿をたくさん見てきたので(笑)、こういう雑誌もとても女性らしいなって。

 うんうん(笑)。

有馬 コンビニや美容室などで手にすることも多いですね。いろいろな女性らしさが潜んでいる雑誌だと思うので、情報源としては大事ですね。それに、女性誌のものごとのとらえ方は、女系家族で育ったせいか、しっくりくるんです。

──仕事柄、週刊誌の張り込みなどは、やはり気にされているんですか。

 これはもう、こういう仕事にはつきものですよね。NHK時代から、週刊誌には何回も書いていただきましたし、実家にまで取材に来ていただいたこともありましたしね(苦笑)。でも、それも含めて、読んでいる人が“人間ドラマ”を楽しむことができるという意味では、いいんじゃないですかね。

 雑誌やテレビって、本来は“前衛芸術の玉手箱”だったものが、いつの間にか、コンプライアンスとかを気にする“権威主義的”なものになってしまった。でも、本当はもっとドロドロした世界でいいと思うんです。だから、(スキャンダルを報道されたり)そういうことがあっても、いいんじゃないかなって僕は思っていますね。

有馬 僕も、同期とか後輩の女性アナウンサーと集団で歩いていたところを、ツーショットで切り取られて、週刊誌に載ったことがありますよ。“○○女子アナに新しい彼氏”とかって。僕も同じアナウンサーなのに顔にモザイクを入れられて。

 しかも、事実ではなかったという。

有馬 そうですよ!

有馬隼人さん

──本業以外で苦労が絶えないのも、アナウンサーの宿命なんですね。フリーになって、局アナ時代といちばん変わったのは、どんなところですか?

有馬 テレビ局に所属していたころは、(野球にたとえるなら)いい球が来ても見逃すことが多かったのですが、フリーはすぐに打っていいんだって思えるようになりました。逆に、いい球を見逃さないように、いつでも打てる用意をしていなくてはならないんですけどね。

 ついつい働きすぎてしまうというのも、フリーにとっては問題かもしれないね。フリーになっていちばん変わったことは、やはり健康のことを考えるようになりましたよね。誰も自分の身体は守ってくれませんから。

有馬 確かに、自分で心身をコントロールすることが、これからは大切になりますね。

 僕たちくらいの年齢になると、いつもこういう話で終わっちゃうよね(苦笑)。

<プロフィール>
有馬隼人(ありま・はやと)/1977年10月29日生まれ。広島県出身。関西学院大学でアメリカンフットボールの学生日本一に2度輝く。卒業後、2001年TBSにアナウンサーとして入社、『ブロードキャスター』などを担当。’04年に退社。日本社会人アメリカンフットボールリーグに選手として復帰。’12年シーズンをもって現役引退。現在は指導者としても活躍中

堀潤(ほり・じゅん)/1977年7月9日生まれ。兵庫県出身。立教大学文学部ドイツ文学科卒業後、2001年NHK入局。『ニュースウォッチ9』のレポーターや経済ニュース番組を担当。’13年にNHKを退局。現在は、ジャーナリスト、キャスターとして取材や執筆など多岐にわたり活動中。ニュースサイト「8bitNews」代表