子ども時代の“給食”の思い出は、大人になってからも鮮明に記憶に残っているもの。そこで、給食に関するアンケートを実施。かつてどんな給食が好きだったか、あるいは嫌いだったか、特に思い出に残っているメニューについてなど、“給食あるある”を聞きしました。330人からの回答は──。

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 まず、“給食は好きでしたか?”の質問には、約7割の232人が好きだったと答えている。

「どの献立もおいしくて、給食のために学校に行っている感があった」(東京都・40代=会社員)

「余っている好きなものを、じゃんけんで勝ち取る喜び」(大阪府・30代=主婦)

「おかわりをした。とにかく食べまくった。給食費のモトはがっちりとった」(東京都・40代=会社員)

「熱を出して休んでも、給食の時間だけ行った」(静岡県・50代=会社員)

 嫌いだった人からは、心が痛むような壮絶エピソードも。

「まずくて思い出したくない」(大阪府・20代=会社員)

「おいしくなくて、食べずに持ち帰り、捨てていた」(長野県・50代=主婦)

「担任の先生がとても厳しく、ひと口たりとも残すことは許されなかった。午後の授業中も食べさせられて、まるで拷問のようだった」(東京都・60代=主婦)

「嫌いなものでも泣きながら食べさせられた。おなかいっぱいでも残させてくれず、吐いたことも。当時は地獄だった」(熊本県・40代=主婦)

明治22年(1889年)初めての学校給食。おにぎり、塩鮭、菜の漬物

まずは、好きだったメニューから

 そんな給食の好きなメニュー、堂々の1位はカレーライス。

 とにかく、「おいしかった」(福岡県・50代=会社員)の声、多数。

 2位には、揚げパンがランクイン。

「給食でしか食べられなかったから」(滋賀県・20代=主婦)

「お菓子のようでおいしかった」(東京都・30代=パート)

 味つけも砂糖だけでなく、きなこ、黒糖、ココア、シナモンシュガーなど、バリエーションの豊かさも高評価につながったよう。

 3位にはソフト麺が登場。

「あのコシのない感じが好きだった。今食べたくても食べられないから」(岐阜県・30代=自営業)

「当時のパスタはナポリタンくらいしかなかったので、初めてソフト麺をミートソースで食べたときは感激しました」(北海道・50代=主婦)

 その食べ方はミートソースがダントツ。カレースープ、あんかけ、けんちん汁、酸辣湯(スーラータン)などもあげられた。

 4位は、懐かしの鯨の竜田揚げ。

「脂身がなくおいしかった」(大阪府・60代=自営業)

「肉を食べた感が強かった」(愛知県・60代=自営業)

 特に50代以上から熱い声が寄せられた。

嫌いだったメニュー、ダントツのワースト1位は

 逆に、みんなが嫌いだったメニューは、

「アレルギーで飲めなかった」(大阪府・50代=無職)

「大嫌いでいつも同級生に飲んでもらっていた」(東京都・60代=主婦)

 など、ダントツのワースト1位は牛乳。そして60代以上の人には懐かしい脱脂粉乳が2位に。

「まずくて、飲みにくかった。よく捨てていた」(富山県・60代=その他)

「そもそも牛乳が好きではないのに、それ以上にまずい」(東京都・60代=会社員)

 3位はチーズと、乳製品全般が上位を占める結果に。

「くだもの入りサラダ。くだものが入ってるのが許せなかった」(兵庫県・20代=その他)

「フルーツカレー。ありえへん」(大阪府・40代=主婦)

「肉じゃが。グリーンピースが入ってなければ好きなのに」(静岡県・40代=調理師)

「レーズン、納豆、魚、レバー。大嫌いだった」(熊本県・20代=不明)

 など、苦手な食材や家庭とは異なる調理法のメニューをあげる人が全体的に多かった。

【好きだった給食メニュー】
1位…カレーライス(52人)、2位…揚げパン(41人)、3位…ソフト麺(30人)、4位…鯨の竜田揚げ(13人)、5位…焼きそば(9人)

【嫌いだった給食メニュー】
1位…牛乳(19人)、2位…脱脂粉乳(16人)、3位…チーズ(8人)、4位…サラダ(7人)、5位…納豆・食パン・カレー(6人)

 給食の思い出について尋ねてみると、時代の流れを感じさせるユニークなメニューが多数。

「給食と一緒に肝油ドロップが出ていた」(福島県・30代=会社員)

「おかずを選べる日や、日本各地&世界各国の郷土料理週間が年に何回かあった」(岡山県・30代=教員)

「毎月末に誕生日給食があった」(東京都・10代=学生)

 誕生日のスペシャル・メニューなんて、いまどきの給食ならでは。

 さらには、こんなご当地感いっぱいのメニューも。

「根室の花咲地区では、花咲ガニを入れた鉄砲汁が出てました」(北海道・50代=主婦)

「ラーメンサラダ」(北海道・40代=主婦)

「イナゴの佃煮」(山形県・20代=学生)

しもつかれ。当時は郷土料理だと知らず、一般的な家庭料理だと思っていた」(栃木県・20代=会社員)

「ピーナツみそ」(千葉県・40代=主婦)

キムタクごはん? コバトンパン?

 ここからは地域色の豊かな給食を深掘りしてみた。

「コバトンパンは埼玉限定メニュー」(埼玉県・20代=会社員)

 コバトンパン!? 埼玉県学校給食会に尋ねると、

「コバトンパンは、’04年に開催された『彩の国まごころ国体』に合わせて企画された学校給食用パンです。形状はメロンパンに近く、以前はチョコ味もありましたが、現在はミルク味のみ。パン底には国体のマスコット『コバトン』の焼き印が押され、包装袋にもコバトンがプリントされています」(事務局)

埼玉県の『コバトンパン』。コバトンの焼き印がかわいい

 国体終了後も存続を望む声が多く、コバトンは’05年から正式に埼玉県のマスコットに就任している。

 驚きのネーミングなのが、

「キムタクごはん」(長野県・30代=自営業)

 元SMAPが給食に!? 塩尻市役所に問い合わせてみると、

「白菜キムチとたくあんを混ぜたごはんのことです。もともと長野県は野沢菜漬けなどの、漬物文化があります。子どもたちに漬物をもっと食べてもらおうと、’02年に考案されました。確かにネーミングがタレントさんの愛称と同じ部分はありますが、ちゃんと商標登録もされています」(教育総務課学校給食係)

木村拓哉もびっくり(!?)な、塩尻市のキムタクごはん。学期に1回程度出されている。「キムタクが出ると児童は大喜びです」(塩尻市役所)

 子どもたちにも非常に人気のメニューで、地元では、某大手コンビニでも『キムタクおにぎり』が売られていたこともあるとか。

神戸っ子は『とくれん』が大好き

ごはんがアルミパックで出るのは静岡だけと最近知った」(静岡県・40代=会社員)

 アルミパックとは!?

 静岡県学校給食会に聞いてみると、

「1976年に米飯給食が導入されるまで、ずっとパン給食だったので県内に炊飯業者がいなかったんです。そこで、パン釜でごはんを炊けないかと考えられたのが、個人別アルミパックです。これによって、静岡県ではごはん給食が一気に普及しました。ただ最近は、他県同様クラス別に分けられたごはんが主流です」(物資課)

 現在でも、静岡県の一部地域では現役なのだそう。

静岡県の個人別アルミパックの米飯

『とくれん』が全国区じゃなかったとは……」(兵庫県・40代=会社員)

 とくれん!? 調査をすると、徳島県の浅井缶詰が製造していることが判明。

「みなさんに“とくれん”の名前で親しんでもらってますが、正式名称は『プデナーオレンジ80』。果汁80%のオレンジゼリーで、凍らせた状態でもスプーンがスッと入るので“半シャリ”で食べるのが人気です」(浅井缶詰・田中明徳社長)

 “とくれん”とは徳島県加工農業協同組合連合会の略称。田中社長によれば、

「農協系の加工場だったんですが閉鎖になり、お付き合いがあったウチが17年前に商権を引き継ぎました。学校給食には北海道、京都や滋賀などの関西圏にも出しています。理由はわからないんですが、神戸だけ熱狂的人気なんです。

 学校給食はもちろん、神戸の飲食店やスーパーからも“扱いたい”というお声をいただき、置いてもらっています」

 神戸っ子御用達デザートのようだ。

神戸っ子は『とくれん』が大好き

 果汁を使った給食といえば、こちらは有名。

「みかん入り・ポンジュース入りのごはん」(愛媛県・40代=その他)

 西予市教育委員会の学校教育課によると、

「通常、ごはんはお水で炊くと思いますが、地元のみかんを使ったジュースで炊いたものです。以前から愛媛県の各市町村で学校給食に取り入れられていました。西予市ではみかんごはんを“みかん寿司”へとアレンジし、年に1~2回出していました。ごはんはややオレンジ色で、ほのかな甘みと酸味があります」

西予市のみかんごはんは、みかん寿司へ進化

 そのほかには、「そば米雑炊」(徳島県・40代=主婦)、「ふぐ雑炊」(山口県・30代=主婦)、「だご汁」(熊本県・20代=不明)、「沖縄そば、タコライスなどの郷土料理」(沖縄県・20代=学生)と、まるでグルメ見本市。

 47都道府県、すべての学校に通ってみたかった!?