「風太役の濱田(岳)さんも、万丈目吉蔵を演じている藤井(隆)さんも本当に厄介な人たちで(笑)。あの手この手で人を笑かしにかかってくるんです。撮影中、お芝居にならないんですよ、笑いすぎて。それだけ楽しい現場なんです」
朝ドラ『わろてんか』でヒロイン・てん(葵わかな)の身の回りの世話をする女中、トキを演じている徳永えり(29)。タイトルのとおり、現場には笑いが絶えないと明かす。
「大阪編(10月23日放送~)になってから、芸人さんがたくさん出てくるようになります。みなさんリハーサルで“絶対に本番はそんなお芝居しないでしょ!”という面白いことをやってくるんです。いざ本番になっても、その“残像”が頭の中に残ってて(笑)。私も、わかなちゃんも本当に笑いをこらえるのが大変。
わかなちゃんは、手の甲とかカメラに映らないところをつねって、笑わないように我慢しています(笑)」
トキの出演シーンでは、藤岡屋の手代・風太とのまるで“夫婦漫才”のような掛け合いも話題に。
「私が大阪出身ということも関係しているかもしれません。完全に会話が関西のテンポになっていますが、私の言葉を受けて返してくる濱田さんが本当にすごいんです。“このくらいやっても大丈夫かな?”と私が足したアドリブの、さらに倍返しで戻してきますから(笑)。だから、こっちも“もっとやってやる”と燃えるんです」
黄金世代(R30)影の実力派女優
朝ドラは『梅ちゃん先生』『あまちゃん』に続いて3作目となる実力派。ヒロインの葵からも、いろいろと相談されることがあるという。
「わかなちゃん、最初は“てんちゃんと私、こんなに性格がかけ離れていてどうしよう……”と、悩んでいたんですけど、私は“そんなこと考えなくて大丈夫!”と言い続けていました。『わろてんか』の核にあるのは、彼女の笑顔。わかなちゃんの華やかな笑顔は、本当にすごい力があると思うんです。
人間にはどんな時代でも笑いが必要だと思うし、すべてのエネルギーになる。彼女の笑顔が、その説得力になっているんじゃないかな、って。わかなちゃんが現場を楽しんで、輝いてくれることが一番なので、私ができるアドバイスはさせていただいています」
てんにいつも寄り添うトキ。出身地などの設定は明らかにされていないが、どんな女の子なのだろう?
「いいお家に入る女中は花嫁修業のようなもので、わりといいところの家庭の出の子も多かったと聞きました。衣装合わせのときに、思っていたよりきれいな着物を着せていただいたので、トキもそんなひとりなのかと思って演じています」
大阪編が始まり、藤吉(松坂桃李)の実家・北村屋で、トキもてんと一緒に働き始めた。ドラマはまだまだ序盤。これからの見どころは?
「トキとしては、風太との関係性に注目してもらいたいです。彼あってこそのトキなので。ふたりの間がこれからどう変化していくのか、私自身も楽しみなんです。おてんさまとの関係・立場というのもどんどん変わっていくので、そこも見ていただきたい部分です」
撮影の合間の「癒し」は?
「友達と一緒にわいわいするのが好きです。同世代の友達でいろいろな職種の子たちと“最近、腰が痛い”とか“どこの占いがいい”とか、ザ・アラサーの話で盛り上がっています(笑)。基本、人としゃべったり話を聞いたりするのが好きなんです。だから、ひとりで読書するよりも、外に出て人に会っているのが癒しになります。
あと、いま撮影で滞在しているホテルは、IHのキッチンつきなんです。料理人になりたいと思うほど料理が好きなので、簡単な料理ですけど自炊しています」
じぇじぇじぇ(‘jjj’)な朝ドラ「新記録」
「『梅ちゃん先生』(2012年)で、朝ドラの大変さと面白さを教えてもらいました。医専のシーンは、入学から卒業までを1週間で撮ったんです。あれは正直キツかったです……。あと、今は塗り替えられたかもしれませんが、インターンになってから、梅子(堀北真希)や山倉(満島真之介)たちと食堂で会話するシーンで、1日に16食食べるという朝ドラ記録も作ったんです(笑)。これはセットが1日しか残せないから、食事のシーンをまとめて撮ったからなんですけど。
そのあと1話だけですが、『あまちゃん』(2013年)にも出させていただきました。夏ばっぱ(宮本信子)の若いころを演じられるなんて、信じられなくて。『あまちゃん』のファンで毎朝見ていた私にとって、夏ばっぱになれて、北の海女の扮装をし、セリフで“じぇじぇじぇ”が言える(笑)。こんな一石三鳥なことはなかったです。撮影自体は半日で終わったのですが、本当にいい思い出です!」