伊集院光 様
この夏からテレビ朝日で『ラストアイドル』(毎週土曜 深夜0時5分〜 ※一部地域を除く)というアイドルオーディション番組を担当している。企画立案の秋元康さんのご指名で、『料理の鉄人』で知られる演出家の田中経一(話題の映画『ラストレシピ』の原作者でもある)と私とでタッグを組んでやっている。
いにしえの『ASAYAN』以来、数限りないオーディションバラエティーを構成してきた私から見ても、今回の『ラストアイドル』のシステムはハンパないと思う。毎回登場する挑戦者1人が、暫定メンバー7人の中から1人を指名しパフォーマンス対決。審査の結果、挑戦者が勝てば即メンバー入れ替えとなる。
これを12月のCD発売まで毎週繰り返して、最終的にサバイバルした7人で正式デビューするというもの。さすが秋元康! よくこんなスパイシーなオーディション方式を考えついたものである。
この番組の収録現場の緊張感たるやすごい。特に審査結果が発表された瞬間、観客やスタッフも含め100人以上はいるスタジオが、まるで水を打ったようにシーンとなる。
並みのMCなら、このヘヴィな雰囲気から次の進行へと持っていくのは到底無理。その難度Cのスタジオを回しているのが、今回、勝手に表彰したい男・伊集院光である。
実はMCに伊集院さんをというのも秋元さんのアイデア。彼なら、かなりスパイシーな展開が予想されるスタジオを救ってくれると。そして、その目論見は見事に当たった。
暫定メンバーの1人が挑戦者に敗れたとき、さっきまで挑戦者だった少女を新メンバーとして迎え入れなければならない暫定メンバー。心中は超複雑であろう。観客も同じ気持ちだ。その際の伊集院さんの物言いに、シビレた。
「どうぞ、ウェルカムの拍手でお迎えください」
新メンバーへの気遣いと同時に、荒れた場を仕切るのにこれ以上にハマるセリフはない。収録現場で思わずうなってしまった。
さらに勝ち残った暫定メンバーへのこんな声がけ。
「あなたは最初、挑戦者が出てきたときに挑戦者の目を見ることができず、いつも目を伏せていましたね。でも今はちゃんと挑戦者の目を見て、受けて立つことができるようになりました」
なんだよ、この優しい眼差し。金八先生か!
毎週毎週の試練に立ち向かう彼女たちにとって、自分たちの成長をMC席でキチンと見守って評価してくれる伊集院さんの存在は、大変心強いことだろう。
『ラストアイドル』という番組を支えてくれる、これぞマスター・オブ・セレモニー! 伊集院光さんを「これからもラストアイドルのヘヴィなスタジオをレスキューしていってほしいで賞」で勝手に表彰したい。
12月のデビューまで、まだまだ山あり谷あり。伊集院さん、スタッフ一同、ご信頼申し上げているのでよろしくお願いいたします!
<プロフィール>
鮫肌文殊(さめはだ・もんぢゅ)
放送作家。’65年神戸生まれ。古舘プロジェクト所属。『世界の果てまでイッテQ!』など担当。渋谷オルガンバー「輝け!日本のレコード大将」(毎月第2金曜日)、恵比寿頭バー「歌謡曲主義」(毎月第3火曜日)などでの和モノDJ、関西伝説のカルトパンクバンド・捕虜収容所のボーカリストなど音楽活動も数多い。
<鮫肌文殊からお知らせ>
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