ヨガのポーズと呼吸
ヨガではポーズのことをアーサナ(asuna:坐法)といいます。なぜヨガでは、このアーサナというポーズをとるのでしょうか。
その理由は、瞑想に入りやすくするため。詳しくはのちにご紹介しますが、体が良い状態でなければ、心も集中できないということです。ヨガの古典的な流派の一つであり、現在よく行われているヨガのベースであるハタヨガでは、アーサナを中心に肉体にフォーカスしています。
ハタヨガのハタとは太陽(ハ)と月(タ)(陽と陰の結合)を意味しているように、ハタヨガでは前後・左右・上下いずれの動きもバランスよく行います。
さらに、自然な呼吸を合わせて連動しながら動くので、本来の自然な動きと感覚が神経を通じて脳にインプットされます。アーサナは坐法という名前の通り、じっと座ったまま瞑想できるように肉体を整えます。
加えて、プラーナというエネルギーが全身を巡り、チャクラというパワースポットが活性化するように様々なポーズがあります。
ヨガの呼吸法には、声帯を締め上げて音が出るようなものや、交互に片方の鼻を指で塞いだり、息を止めたりといった、様々な種類があり、それぞれに意味があります。ヨガで呼吸が整うと、全身に酸素がいきわたります。そうすると気持ちの面にも変化が生まれて、自律神経のバランスが整います。
このようにポーズと呼吸法によって体と心を整えていくのです。
さらに、アーサナとアーサナの間に、小休憩のようなポーズが入るのもヨガの特徴です。ヨガのレッスンで最後に行われることの多いシャヴァアーサナ(屍のポーズ)もその一つです。
このポーズは、偏った自律神経に本来の波を取り戻す作用があるといわれています。普段、疲れすぎていたり、緊張しっぱなしだと、リラックスしようと思っても、中々できるものではありませんよね。
そんな時は、自律神経のうち、アクセルに相当する交感神経をあえて刺激しながら動いていく。その後、シャヴァアーサナでリラックスすると、頭は冴えているのに体は完全に緩まり、深いリラックス状態を得ることができます。
姿勢のキープがさらなる成長を促す
ヨガには、流派にもよりますが極端に俊敏な動きはほとんどありません。老若男女だれでも、何歳からでもできます。その代わりというわけではありませんが、ヨガでは同じ姿勢をキープすることがあります。同じ姿勢をキープすると筋肉に負荷がかかり、成長ホルモンが分泌されます。
筋肉に負荷がかかることで人間らしさの象徴である、前頭前皮質を中心に脳が刺激されます。ヨガを続けている方が何歳になっても若々しく、クリアな意識を保っている秘訣も、ここにあるといえます。
姿勢を保持している間も呼吸に意識を向けながら、体幹の筋肉を働かせていくので、体幹を鍛えている、という意識が特になくても、体幹を活性化し、鍛えることになります。
アーサナは全身を使いながら、柔軟性と安定性を高めていくものです。柔軟性と安定性が高まると、背骨は自由で安定した動きを取り戻し、本来の位置を無理なくキープすることができるようになり、姿勢も理想的な状態に近づきます。
これは静止した状態の時に限った話ではありません。動いている際の姿勢も安定してくるので、ちょっとしたことで怪我をしてしまうようなこともなくなり、自由な動きを獲得することができます。
背骨が健康な状態にあると、背骨に保護されている脊髄と、出入りする神経系の働きが良好になります。呼吸や体液循環も促され、何より内臓の働きが活性化します。
さらには、人は理想的な姿勢でいると、重力に抗う無駄な筋力を使うことがなくなるので、限りなく省エネで過ごすことができるようになります。
疲れ知らずでフットワークも軽くなるので、仕事の効率も上がることでしょう。