映画にドラマ、舞台で活躍し、人気を不動のものとしてきた大泉洋(44)。俳優としてはもちろん、エッセイ本を出せば大ヒット、トークも秀逸でバラエティーや舞台挨拶では必ず場を盛り上げるなど、もはや役者としての垣根を越えて愛される人気者だ。なぜ彼はここまで愛されるのだろうか。
「確かによく言っていただくんですよ、“大泉さんは愛されてますね”って。本当にそうなのかしら?(笑)。やれモジャモジャだ何だと、いろいろ酷いことも言われるけど(笑)」
しょっぱなから“大泉節”を炸裂させては取材班を笑わせる。
「前に出席したポルトガル映画祭でも、ウケる必要はないのに“こんにちは、クリスティアーノ・ロナウドです”って言っちゃうワケ。それを言うためだけに、私すごい緊張してるのよ(笑)。だって下手したらスベるし、怒られちゃうでしょ。そんなリスクを背負ってでも、人に笑ってほしいと思ってしまうんです」
国内外でその名を轟(とどろ)かせつつある大泉だが、現在も北海道テレビの番組にレギュラー出演するなど、地元を愛する“生粋の道産子”としても名高い。
そんな彼の出身地・北海道で撮影され、大泉の代表作ともなった映画『探偵はBarにいる』の第3弾が4年ぶりに公開!
「2が終わってから“次はいつやるんですか”って聞かれることが本当に多くて。特に業界内でそう言ってもらえるのは、結構珍しいこと。『水曜どうでしょう』はやたら言われますけどね(笑)」
それでも“待たせてしまったぶん、面白いものができた”と自信をのぞかせる。
「もし映画がダメだったときに、やっぱり主演の僕にも責任が関わってくる。だからプロデューサーもプロットや台本ができあがった段階で僕にも見せてくれて。誰よりも辛口の観客として、意見させてもらいました」
よりよいものにしたいという一心で取り組んだそうで、
「これで終わらせるわけにはいかん! と。4、5と続けていきたいからこそ、しっかりしたものを目指しました」
クールでどことなくセクシーな“探偵”には男も女も惹きつけられる魅力があるが、一方で雪に埋められたり、スキージャンプの台に吊るされたりと、毎回さんざんな目に……。そして今回は、なんとパンツ一丁で船上に!?
「僕はね、物語の流れ上、服を着ていたほうがいいんじゃないのって言ったの。そしたら監督が“確かにそうなんですけど、ガウンのほうが絵的に面白い”って。そう言われちゃうと……面白いって言葉に私、弱いんで(笑)。結局、前のシーンとのつながりのこともあって、パンツだけの裸でやることになりまして」
もちろん、撮影は北海道の真冬、真っただ中。
「あれホント寒いの! 僕、あのシーンを見て思ったんですけど、寒さというのは映像じゃ伝わりきらない(笑)。息もできないんです。大げさと思われるかもしれないけど、やってみろってんだ(怒)」
身体を張ったエピソードも、ユーモアたっぷりに話す大泉。彼の周りには、取材中はもちろん、常に“笑い”があふれている。
「僕にとっては“マグロが泳いでないと死んでしまう”みたいなもので、笑いがないとつらくて仕方がなくて。さすがに家では違いますけどね(笑)。舞台挨拶とかお客さんがいるものに関しては、わざわざ来てくれるものだし“笑ってもらわなきゃ”って強迫観念もある。それはもう性でしかないんです」
ぶっちゃけ、人から嫌われたくない気持ちも?
「あるある! めちゃくちゃある! 世界中から好かれたいもん(笑)。取材でも本当はマジメな話だけしていればいいんだけど、笑わせようとしたり余計なこと言うから、自分でインタビュー原稿を校正せざるをえなくなる。
なんせ世界中から好かれたい男だから、誤解されては困る(笑)。直接聞いてれば笑いになることも、文字になるとニュアンスが違って聞こえることもあるので」
というわけで、彼のもとには取材を受けるたびに原稿が山のように届くそうで……。
「あ、先に言わせていただきますと、締め切りは守れないタイプなのでよろしくお願いします(笑)。おそらく週刊女性にも迷惑かけてしまうかと……ごめんなさい!」
(※無事、間に合いました!)
『探偵』への特別な思い
「地元の北海道で撮っているということもあり、勝手に背負っているものがあるような気がして。でも僕の役者としてのステップ・階段を大きく1段上げてくれた作品であることには違いないから、それはとてつもない思い入れがあります。それに僕はこの作品の世界観が好きとしかいいようがない。シリーズで出させてもらって、役者としてこれ以上ない幸せだと思っています」
モテる探偵、甘える大泉
「“探偵”って優しいし、一緒にいたら楽しいだろうし、女性からしたら頼れる感じがあるんでしょうね。僕自身はまったく逆。根っからの末っ子気質で、甘えればなんとかなると思ってるとこがある(笑)。理想の女性像? 僕は話したいタイプなので、やっぱり聞き上手な方がいいですね。と、言いつつ僕の奥さんはあんまり聞いてくれませんけど(笑)ハハハハ」
<出演情報>
映画『探偵はBARにいる3』
12月1日(金)全国ロードショー
大泉が演じる“探偵”と松田龍平演じる相棒の高田が、謎の美女からの依頼を受け(もはやお約束!)、事件に巻き込まれながら真相に迫っていくハードボイルド劇。あるとき、2人のもとに、恋人・麗子(前田敦子)が突然失踪したと高田の後輩からの依頼が。その麗子の行方には謎多き美女・マリ(北川景子)が深く関わっていて―。
『探偵はBARにいる3』公開記念!
『大泉洋映画祭』開催決定
11月22日(水)~30日(木)
18時30分~ 丸の内TOEI
※22日の舞台挨拶付き上映回は完売
詳細は公式サイトをごらんください。
「ホントに僕が出させてもらった作品ってどれも面白いんですよ(笑)。名作が多い! 正直、僕が見に行きたいもん。でもさすがに僕が見に行っちゃったら恥ずかしいじゃない?
満席だったらまだいいけど、すいているところに僕がいて“大泉さん本人と一緒に見ちゃった”みたいな(笑)。見てない方もいっぱいいると思うんだ。だからこの機会になんとかスクリーンで見てもらいたい。ちなみに初日には、私も舞台挨拶にうかがいますよ!」
■11月22日(水)・23日(木・祝)
『探偵はBARにいる』
2011年9月10日公開/125分/配給:東映
監督:橋本一 脚本:古沢良太 須藤泰司
記念すべき第1弾で、大泉も「かわいがって育てたわが子のような作品」。“コンドウキョウコ”と名乗る女からの依頼を引き受けた探偵は、拉致され、半殺しにされるハメに。報復のため高田と調査に乗り出すが、そこで4つの殺人事件に行き当たり……。美しいヒロインは小雪が演じた。
■11月24日(金)・25日(土)
『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』
2013年5月11日公開/119分/配給:東映
監督:橋本一 脚本:古沢良太 須藤泰司
仲よしのオカマ、マサコちゃん(ゴリ)が殺された。真相を突き止めるべく動き出した探偵と高田のもとに、「大切なファンだったマサコちゃんのために自力で犯人を捕まえたい」と、人気バイオリニスト・弓子(尾野真千子)が現れ……。
■11月26日(日)
『しあわせのパン』
2012年1月28日全国公開/114分/配給:アスミック・エース
監督・脚本:三島有紀子
北海道・洞爺湖のほとりにある小さな町・月浦で小さなパンカフェを営む夫婦と、そこを訪れる人たちのさまざまな人生を描く。原田知世と夫婦役を演じた大泉は普段のイメージとは正反対の(!?)何でも包み込んでくれるような“優しいダンナ様”に。
■11月27日(月)
『グッモーエビアン!』
2012年12月15日公開/106分/配給:ショウゲート
監督:山本透 脚本:山本透 鈴木謙一
「これは隠れた名作だと思ってます!」と大泉も絶賛。劇中では海外放浪の旅から戻ってきた“自由人”を熱演。元パンクギタリストの母親(麻生久美子)とその娘(三吉彩花)と凸凹家族に!? ラストのライブシーンで、生歌を披露している姿がめちゃくちゃカッコいいです!
■11月28日(火)
『青天の霹靂』
2014年5月24日公開/96分/配給:東宝
監督・脚本:劇団ひとり
40年前の浅草にタイムスリップした売れないマジシャン・晴夫(大泉洋)。そこで若き日の父(劇団ひとり)とコンビを組むことになった彼は、自分を捨てたはずの母(柴咲コウ)と出会い……。感情があらわになるシーンには思わず涙。また、劇中でのマジックは差し替えもCGも一切ナシというから驚き!
■11月29日(水)
『駆込み女と駆出し男』
2015年5月16日公開/143分/配給:松竹
監督・脚本:原田眞人
離縁を求める女たちがやってくる幕府公認の駆込み寺・東慶寺。“駆込み女”たちの聞き取り調査を行う御用宿の居候で、医者見習いの男を演じた大泉は、この作品で『第58回ブルーリボン賞』主演男優賞を受賞! 戸田恵梨香、満島ひかり、樹木希林などが脇を固める。
■11月30日(木)
『アイアムアヒーロー』
2016年4月23日公開/127分/配給:東宝
監督:佐藤信介 脚本:野木亜紀子
謎のウイルスに感染した“ZQN”であふれかえった世界を舞台に、生き残りをかけた壮絶な戦いを描くパニックホラー。共演には長澤まさみ&有村架純と、いつも大泉の作品には美女が!「そう言う人が多いけど、どんな映画も女優さんはキレイでしょ? “大泉ごときが”って思ってるからそう言うんでしょ?(笑)」