クイズの女王・宮崎美子

 “クイズの女王”と呼ばれるほど、今やクイズ番組には欠かせない存在の宮崎美子(58)。クイズ番組の魅力や勝つための秘訣について伺った。

楽屋での会話が役に立つ

『Qさま!!』『ミラクル9』(ともにテレビ朝日系)をはじめ数多くのクイズ番組の常連。そもそも往年の超人気クイズ番組『クイズダービー』のレギュラーでタレントとしての一歩を踏み出して以来、36年間、ずっと解答者席に座り続けている宮崎美子。“クイズの女王”の名はダテではない。

「実は『クイズダービー』以前にも一般視聴者として『アップダウンクイズ』に出演しているんですよ。そう考えると昔からクイズは好きだったんでしょうね。ただ、クイズのための勉強って正直、したことがないんですよ。『Qさま!!』で漢字検定の1級を受けたときくらいですね、真剣に勉強したのは(笑)。

 それよりも楽屋での会話なんかが意外と役に立ったりするし、いろんな世代のいろんなジャンルの人が一堂に集まるのも楽しいじゃないですか。自然に自分が知らなかった話題になったりして、そういうのってどこか頭の片隅に残るんですよね」

 教科書的な知識を競うクイズ番組で現役東大生に勝てるわけがないと笑うが、実際は水上颯などの東大生クイズ王を制し、悔しがらせることも。単なる知識比べではないところがクイズ番組のおもしろいところ。宮崎ほどそれを知り尽くした出演者はほかにいない。

「知力も瞬発力も若い人にはかなわないけど、クイズショーでの勝負となると経験が物を言うこともある。解答者席には独特の緊張感があって、なかなか平常心ではいられないんですよ。知ってるはずなのに答えが出てこない。わかってるのに怖くてボタンが押せない。そんなことばかり。

 その日、その場所でいちばん集中できた人が勝つのがクイズ番組。重要なのは場数なんですよね。申し訳ないなとは思いつつ、人生そういうものよ、水上くんって(笑)」

伝説の解答者との共演

 クイズ史に残るさまざまな番組、いまや伝説となった解答者たちと共演してきたことも彼女の財産となっている。

「『クイズダービー』のはらたいらさんは本当にすごかった。あるとき、お坊さんに関するクイズが出て、誰もわからないのに、さも当然のように正解なさって、“なんでそんなことまでご存じなんですか?”って尋ねたんですよ。そうしたら、先月号の『月刊住職』に載ってたよって。そんな雑誌にまで目を通しているのかと本当に驚きました。

 やくみつるさんもそうですけど、社会批評を描く漫画家さんって森羅万象すべてにアンテナを張りめぐらせてらっしゃるんですよね。これはおもしろそうだと思ったら、どこか心の隅にとめておくと、そこから違う世界が広がることもある。そういう意味でクイズは知的好奇心を刺激してくれるいちばん身近なものだと思うんですよ」

 出演者たちの知力の競い合いをスポーツ観戦のような感覚で楽しみつつ、そこに自分も参戦できる。クイズ番組の素晴らしいところは、その双方向性だろう。

「おじいちゃん、おばあちゃんからお孫さんまで、家族が世代を超えて楽しみながら勝負もできる。そんな番組ってクイズしかないですもんね。出演者側からすると、確かにスポーツをしているような爽快感はあります。もちろん、負けたときは悔しさも。この年になって息子のような若い子たちと真剣勝負ができるのは何ものにもかえがたい喜びです。

 たまに小さな女の子からお手紙をもらうんです。こういうおばちゃんもいるんだって、励みや勉強のきっかけになったら、おばちゃんとしてはこんなにうれしいことはないです(笑)

<プロフィール>
宮崎美子◎熊本大学在学中にミノルタのCMに出演、そのみずみずしい水着姿が大反響を呼ぶ。以来、才色兼備のタレント、女優として活躍。’81年に『クイズダービー』のレギュラー解答者に。現在まで、『クイズプレゼンバラエティー Qさま!!』ほか、数多くのクイズ番組に出演している。