西宮市役所。職員が勤務中にわいせつな行為を行った会議室や倉庫はこの建物内にある

 男と女の情事は2人が勤務する兵庫県西宮市役所内の会議室や倉庫で重ねられていた。

15分という短い時間の中で……

 昨年6月から今年2月までの間に少なくとも4回、勤務中に時間を捻出し、周囲に気づかれることなくせっせとコトに励んでいたのは総務局の進藤浩二副主査(35=仮名)と健康福祉局の水島陽子係長(40=同)の不倫カップル。

「副主査がSNSを使って係長を呼び出していたそうです。主導権は男性側にあった」

 と、不倫発覚後に詳細を知ることになった同市職員。

 庁舎内での密会、席に戻らないことを同僚は不審には思わなかったのだろうか。

「行為は最長15分程度。トイレやタバコを吸いに席をはずす人と、さほど変わらない時間でした」(前出・職員)

 15分という短時間に、会議室で何をしていたのかといえば、抱き合って身体を愛撫し合い、ディープキスで舌を絡ませ、係長の手淫により射精までしていたという。

「事情聴取では2人とも“庁舎内では最後まではしていない。その手前まで”と言ったそうです」(同)

 2人の禁断愛は2012年暮れから始まり、今年の2月まで4年以上も続いていた。

 不倫関係当初、陽子係長はすでに人妻だったが、進藤副主査は独身だった。陽子係長の夫は同じ市役所勤務の現役職員。

 さらに進藤副主査は'15年12月、同じ市役所で働く美樹さん(32=同)と職場結婚する。つまり、登場人物はみな同じ庁舎内で働いていたから驚く。そんなスリルや背徳感が背中を押したのだろうか、2人の関係は終わることなく、W不倫へと発展した。

 陽子係長の職場評は「面倒見のいい、優秀な職員」で、部下からの信頼も厚かった。一方、進藤副主査も「まじめな職員」と評判。

陽子係長の逮捕

 別れるチャンスはあったという。何度となく、別れ話を切り出したのは陽子係長のほうだった。

「自分の家庭や副主査の奥さんのことも考えて、関係を清算しようとしていた。しかし、別れたくない副主査はそのつど、行為中の写真や係長の裸の写真をSNSで送りつけた。それをバラされるのが怖くて従っていたようです」(前出・職員)

 リベンジポルノをにおわせ性的関係を続けさせる。

 別れていれば、情事はそのまま過去のものになり、事件になることもなく終わっていただろうに、副主査の未練が事態を悪化させてしまった。

 しかし、別れ話を切り出したはずの陽子係長もまた心の底では進藤副主査への思いを断ち切ることはできず、あろうことか嫉妬の矛先を副主査の妻・美樹さんに向けたというからひどい。

 誹謗するビラをまいたり、手紙を出したり、無言電話をかけたり……。ついに不倫は陽子係長逮捕という結末を迎える。

 逮捕までの流れを、前出・職員が明かす。

「昨年6月、美樹さんから“嫌がらせを受けている”と相談がありました。誹謗中傷する文書が自宅や同じマンションのほかの部屋のポストなどに何度も投函されており、職場に届いたこともあったと。

 確認できているだけで10通ほど。過激な筆跡で書かれたものやパソコンで打たれたものなどがありました。

 美樹さんは今年春、兵庫県警芦屋署に被害届を提出し、警察がマンションの防犯カメラを調べたら、なんと陽子係長が映っていたそうです」

 今年4月、県迷惑行為防止条例違反(嫌がらせ行為の禁止)の疑いで陽子係長は逮捕され、5月に罰金30万円の略式命令を受けた。

 陽子係長は騒動について、

「“副主査への恋愛感情から、妻に対して妬みや嫉妬の感情を持っていた”と言っていました。今は被害者に対して悪いことをした、と謝罪しています」(前出・職員)

 一方の副主査も、

「(写真を見せるなど)係長に対し“怖い思いをさせて申し訳なかった”と言ってます」(同)

副主査の妻と係長の夫は

 西宮市は11月13日に、2人をそれぞれ停職3か月の懲戒処分にしたと発表した。理由は地方公務員法の信用失墜行為と職務専念義務などに違反したこと。同日付で係長は依願退職した。

 市民の声は厳しく、「私たちの税金もらってんやろ? やっぱりそんなことしたらあかんやろ!」と、60代女性は声を荒らげた。

 離婚に関する相談やカウンセリングなどを行う『離婚110番』の澁川良幸代表は、

「一線を越えられる人は、パートナーや子どもの存在が歯止めにならない。要は遊びたい心があって、新しい相手がいて、チャンスがあれば食いついていく、というのが不倫のいちばんの理由です」

 と説明する。

 副主査の停職期間は来年2月13日まで。役所に残るか辞めるのか、先のことはわからない。副主査の妻と係長の夫は今も同市役所で働いている。

 係長と副主査が情事にふけっていた会議室は今も使用されているのだろうか。