「最近、扮装して出る機会が多いので、素の状態で出ると“なんか物足りないですね”って言われます(笑)」
3人組ロバートとして『キングオブコント』でコント日本一に。また天才子役や、うさんくさいテレビプロデューサーなどをまじめに演じきる企画『クリエイターズ・ファイル』が大人気になるなど、日本屈指のキャラクターメーカーといっても過言ではない秋山竜次(39)。
なりきり芸に定評のある彼が、12月26日(火)に放送されるスペシャルドラマ『黒い十人の秋山』(テレビ東京ほか 夜11時30分~)で1人10人役に挑戦!
「ドラマとしてのオファーだったので、イメージとしては“ドラマ7割、コント3割”ぐらいと思っていたのですが、やっていくうちに、どんどんコントの部分が侵食していって(笑)。コントにしたほうがどれだけ楽だろうとは思いましたね」
イベントなどにも引っ張りダコの大御所デザイナーを彷彿(ほうふつ)とさせる、YOKO FUCHIGAMIも登場。
「いちばんやらせてもらっているキャラクターなので、こいつのときは安心しますね。最近は場慣れしてきて、“大物感”も出てきたほど。まぁ自分が演じているんですけど(笑)」
とはいえ、大半は今回初お披露目となるキャラクター。どうやって役柄を決めたんですか?
「予算の都合で『クリエイターズ・ファイル』ではできなかったものや一瞬なら面白いなと思って温めていたキャラクターなどを放出させてもらいました。あとは単純に、この衣装を着てみたいとか(笑)」
実在する「猫カート男」
こんな人物いるいる! と思わず共感してしまうなりきり芸。意外なところにヒントが隠れていることも。
「何年か前に渋谷で信じられないぐらいの数の猫をカートに入れて歩いている男性がいたんです。あまりにもすごすぎて、野次馬に囲まれていたのですが、男性は終始ポーカーフェイス。その様子が面白くて思わず写真を撮ったほどなんですが、その翌月に地元の北九州で同じ人がいて。さらに半年後ぐらいに仕事で熊本の商店街に行ったら、また猫の男性に会ったんですよ。俺のことつけて来ているんじゃないの? ってぐらいの遭遇率で(笑)」
そんな運命的な出会いを果たしたインパクト大な男性をモデルにしたキャラクターも、今回ドラマに登場!
「だからずっと多数の猫をカートに入れているキャラクターをやってみたかったんです。ドラマなら予算的にも多数の猫を用意してもらえるだろうと思って現場に行ったら、ドラマでも厳しかったみたいで本物の猫は1匹だけでした(笑)」
憑依(ひょうい)芸ともいわれるほど卓越した演技力を持つ秋山だが、そんな彼でも苦戦した役があったようで……。
「難しかったのは外国人画家。パトリック。ラッセンみたいな白人感の強い外国人をやりたかったんですが、僕は誰もが認めるアジア顔。だからどうやってもアジアが出てきてしまうんですよね……。イメージに近づけるには、もう整形しかないので今後、西洋に手を出すのはやめようと思います(笑)」
撮影期間4日で10人役を演じただけに、苦労も絶えなかったようだ。
「とにかく着替えが大変で、4日で48回着替えたので、ほぼ毎日朝までかかりました。メイクと着替えを極力少なくしないと撮影が追いつかない。それでも最終日にもなると、“あれ、今は何やってんだけっけ?”みたいな時間がありましたね。撮影が長かったら、おかしくなっていたと思う(笑)」
最新の技術を駆使して、秋山が演じた10役のキャラクターが勢ぞろいするところが見どころのひとつ。
「スタッフさんにも“肩タレ”“手タレ”として協力してもらいながら撮影したので、とにかく見てほしい。よしもとの社員が、YOKO FUCHIGAMIの衣装を着て撮影現場に立っていたときはさすがに笑いましたけど」
ドラマ史上、類を見ないコンセプトの作品だけに早くもネットなどでは話題を独占中♪ しかし、今回が最初で最後だと本人は苦笑いする。
「撮影が終わった後に“また、やりましょう”って声が誰からも出なかったですからね……(苦笑)。ドラマを企画したプロデューサーにも“6人くらいにしたほうがよかったですかね?”って言われたときは、お前がそれを言うんかいっ! って(笑)。映画化? それは絶対に無理!(笑) 今回逃したら2度と見られないと思いますので、ぜひこの無謀な企画を見てください!」
秋山の濃いキャラクターは父親譲り!?
「地元・門司港(福岡県北九州市)で海賊船を買い取って、『ファンキータイガーカリビアン』という船上レストランをやっているんです。地元の名物・焼きカレーなどが売りで美味しいけど、船だから長時間いると酔うのが難点(笑)。僕の名前で客を呼んでいるような店で(笑)、店内は僕が送ってあげたグッズでいっぱい。あ、このドラマのポスターも送ってあげようかな」