胃腸が強くなる「TUF」食品って何?

 年末は胃腸への負担が大きくなるシーズン! 薬で治しても食生活が乱れたままでは元のもくあみ。日々の食事や、食べ物の内容を見直すことが大事だという。

「基本は、朝食を抜かない。朝昼晩、3回きちんと食事をとって胃腸のリズムを整える。そして、胃腸に負担をかけないよう、消化のいいものを食べる。豆腐や半熟卵など脂肪分の少ないタンパク質は胃にとどまっている時間が短く、胃にやさしいです。

 逆に脂肪分の多い、ステーキや天ぷらなどは消化が悪く、胃もたれなどを起こしやすいので、胃腸の調子が悪いときは避けたほうがいいでしょう」(日本消化器病学会専門医の江田証先生)

 特に、冬は冷たい食べものにも気をつけたいところ。

お腹を冷やすと血流が悪くなり、胃を守る粘膜の量が減ってしまい、下痢の原因にも。腹巻きなどで外からもお腹を温めましょう。

 逆に熱すぎる食べものも胃腸への刺激が強すぎるのでNG。また、塩分のとりすぎや、肉・魚の焦げは胃に悪影響を及ぼします」

 一方、胃腸を丈夫にする食べものとして、江田先生がすすめるのが、3つの栄養成分TUF(T=タウリン、U=ビタミンU、F=フコイダン)を含んだ魚介類や野菜、海藻。

「これらは胃粘膜を守り、胃の働きをサポートする天然のパワーを持っています。身近な食品ばかりなので、毎日でも食べるとよいでしょう。特にキャベツには、身体の中にたまる有害物質を排除する成分キャベジンも含まれています。アメリカ国立がん研究所の疫学調査の結果、がんを予防する効果が非常に高い食品として報告されています」

 調理の仕方によっては栄養分が排出されてしまうので、左を参考に効果的に取り入れよう。ただし、同じ食材ばかりではなく、多種多様なものを食べることが大切。

「食材の種類が増えると、腸内細菌の種類も増え、外部からの害を防ぐバリア機能が高まり、免疫力がアップします」

 TUFを意識しつつ、味つけや調理方法を工夫し、バリエーション豊かな食生活で胃腸の健康を取り戻そう!

TUF食品がタフな胃腸をつくる!

■タウリンの効果

 イカやタコ、カキなどの貝類、マグロなどの魚の血合いに多く含まれる。1日の有効摂取量の目安は700mg(生ガキ2つ分)。

 抗酸化作用があり、ストレスやアルコールの影響で弱った胃の細胞を延命する効果が。また、肝臓の機能を高めたり、コレステロールの排出を促したりする働きもある。熱に弱く、加熱すると3~5割が損なわれるので生で食べるほうがよい。特にビタミンCと一緒にとると吸収率がいいので、生ガキ+レモンなどがおすすめ。

■ビタミンUの効果

 レタス、セロリ、パセリ、アスパラガス、トマトにも含まれる。冷やすとビタミンUが増えるので、生で食べる場合は1度、冷蔵室へ。

 キャベツから発見された成分で、別名キャベジン。胃薬にその名が使われるほど、胃痛や胃もたれのときにとると胃の調子を整えてくれる。胃酸の過剰分泌を抑えたり、傷ついた胃粘膜を修復したりする。熱に弱く、水に溶ける性質なので生食がおすすめ。加熱する場合はサッと短時間で。スープなどの場合は残さず飲もう。

■フコイダンの効果

 もずく、わかめ、昆布、ひじき、めかぶなどぬるぬるした海藻に含まれている。なかでももっとも含有量が多いのはもずく。

 海藻に含まれるぬめりやネバネバ成分がフコイダン。粘膜のかわりをして胃を保護したり、胃壁を修復したりする働きがある。また、胃潰瘍や胃がんの原因にもなるピロリ菌を吸いつけて腸へ押し流す作用も。フコイダンは熱に強いため、加熱しても効果は失われない。酢のものにすると、酢の力で吸収力がアップするので効果的。

〈この人に聞きました〉
江田 証さん◎江田クリニック院長。医学博士。日本消化器病学会専門医。自治医科大学大学院医学研究科卒業。クリニックでの診療・検査のかたわら、胃腸に関する著書を多数執筆している。