古舘プロジェクト所属の鮫肌文殊、山名宏和、樋口卓治という3人の現役バリバリの放送作家が、日々の仕事の中で見聞きした今旬なタレントから裏方まで、TV業界の偉人、怪人、変人の皆さんを毎回1人ピックアップ。勝手に称えまくって表彰していきます。第37回は鮫肌文殊が担当します。

内村光良 様

 内村光良さんと初めてレギュラー番組で仕事をしたのは、日テレ系の『ウッチャンナンチャンのウリナリ!!』であろうか。以来21年、現在は『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系 毎週日曜 19時58分)と『にちようチャップリン』(テレビ東京系 毎週日曜 22時)という2本の番組でご一緒させてもらっている。

内村光良

 今年の暮れには、なんとあのNHK紅白歌合戦の総合司会までやることになったウッチャン。皆さんもご存知のように、『イッテQ!』がスタートしてここ10年のMCとしてのブレイクぶりときたらハンパない。

 今回、そんな内村光良という男の本質を表す、私が見聞きした彼の名言をまとめてみた。

■名言その1「オレはコントができればそれでいいから」

 『ウリナリ!!』のスタート当初、内村さん、南原さんのおふたりも定例会議に出席していた。われわれ作家の提出する企画案を、総合演出の土屋敏男さんとおふたりが吟味していくスタイル。ガンガンに自分の意見を述べていく南原さんに対し、いつも寡黙だった内村さん。

 これは、ある企画について、「で、ウッチャンはどう思うの?」と土屋さんに聞かれてボソッと呟いたひと言。ご本人は覚えていないと思うのだが、横で聞いていた私はあまりのカッコよさにシビレまくった。今の『LIFE!〜人生に捧げるコント〜』(NHK総合で不定期放送 次回は12月19日 [火] 22時)へと繋がるコント師としてのストイックな一面は、当時からすでにあったのだ。

■名言その2「今のでだいたい分かった」

 『イッテQ!』のスタジオ収録の現場にて。

 これは、出川哲朗のカラダを張ったロケVTRのオープニングで、その回の名場面をまとめた映像を受けて放ったひと言。プロの放送作家の立場から言わせてもらえば、ここまで視聴者目線に寄り添ったコメントは前代未聞。「今からVTRが始まるのに何だ、そのコメントは!」と激怒りの出川さんを尻目にスタジオは大爆笑。根底に流れる、まさに今時な言語感覚に参りました。なかなか言えないよ、これは。

■名言その3「若手のネタ番組が見たいなあ」

 テレ東の名物プロデューサー・伊藤隆行との飲みの席で放ったひと言。この、若手芸人にもチャンスを! という内村さんの言葉を聞いた伊藤くんが即座に局にかけあってできたのが、テレ東初の本格的ネタ番組であり、アキラ100%、平野ノラ、サンシャイン池崎を輩出した一連の『チャップリン』シリーズなのである。

 今年のクリスマスイヴ、12月24日(日)21時54分からは「お笑い王決定戦2017グランドチャンピオン大会」が開催される。ここまで番組が成長したそもそものきっかけは、ウッチャンのこのひと言だったのである。
 
 今回、内村光良さんには「紅白でも何か名言聞かせてね」賞を差し上げて勝手に表彰したいと思う。われわれ世代の代表選手として、まだまだ頑張っていただきたいと切に願います。


<プロフィール>
鮫肌文殊(さめはだ・もんぢゅ)
放送作家。’65年神戸生まれ。古舘プロジェクト所属。『世界の果てまでイッテQ!』など担当。渋谷オルガンバー「輝け!日本のレコード大将」(毎月第2金曜日)、恵比寿頭バー「歌謡曲主義」(毎月第3火曜日)などでの和モノDJ、関西伝説のカルトパンクバンド・捕虜収容所のボーカリストなど音楽活動も数多い。

<鮫肌文殊からお知らせ>
 鮫肌文殊率いる伝説のカルトパンクバンド捕虜収容所がついに日本のロックの聖地・新宿ロフトで超遅咲きデビュー! 2018年1月7日(日)「Oi! FESTIVAL2018」に参戦。英国からのパンクレジェンド、コックニー・リジェクツと日本のスキンヘッドバンドの皆さんの胸を借ります。前売りチケット絶賛発売中。いよいよ公演迫る!