驚異のハイトーンボイスとグラマラスな肢体で、ショービズ界はもとより世界のセレブからモテモテだったという歌手のマライア・キャリー(47)。クリスマスも近いこの時期は各所で彼女の『恋人たちのクリスマス』が流れ、その名前を思い出す読者も多いことであろう。
が、マライアといえば多くのヒット曲と並んで有名な「ダイエット・リバウンドの繰り返し」。
妊娠・出産や離婚騒動などとともに体重も大揺れしていた彼女だが、なんと今年7月には体重263ポンド(約119キロ・身長は173センチ)だと報じられ、ビッグサイズのタレントがわんさといるアメリカでも大きく話題に。
ここまでの体重増加で身体もついに悲鳴を上げたようで、今夏のコンサートでは1曲歌うごとにステージ裏で休憩、体力が続かず口パクで歌唱、ヒールでは数センチしか歩けないと報じられるなど、切実な問題も発生。
ところが11月初旬のイベントでは激やせした姿で颯爽(さっそう)とメディアの前に登場した。どうやらその少し前に胃を小さくする減量手術を受け、食事の量がかなり減ってヤセたとのこと。
彼女は近年、自分の洋服のサイズを見るのも嫌で、即サイズタグを外していたというほどだったというが、手術で減量したことで「いまの私はいい感じ。これが新しい私の始まりだわ!」と喜んでいるようだ。
一方、日本の芸能界でもダイエット挑戦者が後を絶たない。中でも今年の成功者は、ぽっちゃり体形がトレードマークの芸人・松村邦洋(50)が約8か月で110キロから80キロと30キロのダイエットに成功。また、同じくぽっちゃりを売りにしていた女芸人のやしろ優(30)は約9か月で86キロから65キロと21キロ減量とどちらも大幅な体重減を果たした。
このダイエット問題について、自身も、究極の脂肪吸引手術「ミケランジェロ」で作られたシックスパックの肉体を誇る美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長に話を聞いた。
――もはや「ダイエット芸」とまで言われるほど体重の増減が激しかったマライア・キャリーですが、減量手術で激ヤセした彼女は足元もおぼつかない様子で、肝心の体調は大丈夫かなと思われます。
高須「コレは今まであまりに太って運動ができなかったことと、今回の手術で全身麻酔をしたこと、寝たきりの入院生活で筋力が相当衰えたからだろうね」
――マライアのような声量のある歌手は、人並み以上の体力が必要な気がしますが。
高須「胃を小さくする手術は、ちょっとヤセたいくらいじゃ行えないので、きっとそこまでしなければならないほど、健康面の不安があったのかもしれない。命にかかわわるほどの体重増加が認められた場合、この手術をするので。ただ、胃という大事な器官を小さくするということは、自ら栄養を吸収するのを妨げる施術ということ。つまり軽い栄養失調を起こすんだね。となると声がしっかり出るのはちょっと先じゃないかな」
――なるほど。身体に負担がありそうな手術ですね。
高須「たぶん、受けたのは胃バイパス手術だと思うけど、これは食事制限と消化吸収を抑える手術で、他にもマラドーナやKONISHIKIも体重増加による健康障害でこの手術を受けているよ。きっとマライアも糖尿病などの肥満合併症が認められたから、やむを得ず医師も勧めたのだと思います」
強制的にヤセさせると、肌にもダメージが
――しかし、身体を強制的にヤセさせると、肌など美容面でもダメージを受けそうな……。
高須「そりゃあそうだよ! だって“人相が変わるほどヤセた”といわれた松村邦洋さんも、一気に肌が老いたでしょう。ダイエット成功記者会見のときなんか、ボクもちょっとびっくりしたよ!」
――ですよね! 私もこんなにシワっぽかったっけ? と思いました。
高須「きっとマライアも松村さんも、ヤセてしぼんだ皮膚のシワシワ感に悩んでいるでしょう。余った皮膚を切り取る手術もあるけど、きれいな身体からは遠ざかるわけだからね。マライアなんか特に美人、美人と褒めそやされた人生だったろうしさ」
――しかし21キロもダイエットした女芸人のやしろ優さんは、見た目はさほどシワっぽくはならなかったと思います。これはゆっくりダイエットをしたからでしょうか?
高須「長期間かければOKというより、やはり短期間のダイエットはムリしないと成功しない。そのムリが見た目に現れるんだと思います。でも有名人のダイエットはCMなどが絡むことが多いし、意地でもリバウンドできないから大変だよね」
――やはりダイエットが成功すると気になるのがリバウンドですよね! この2つは切り離せない関係なのでしょうか?
高須「というより、ダイエットを始めたその時から、身体はリバウンド待機状態になる。というのも身体は機能維持のために栄養を貯めたがるもの。その栄養がこなくなったり、激しい運動で消費されれば、身体は危険信号を感知し、栄養を求める。これは自然な身体の反応です。この栄養をクレクレ~! っていう状態が、いわゆるリバウンドです」
――なるほど。自然な反応となると難しいですが、どうしてもマッサージやエステでリバウンド防止策をとりたくなりますね。
高須「マッサージでヤセるわけじゃないよ! 一時的にむくみが取れてスッキリするだけ。でも身体が気持ちいいことなら気分的にもいい効果が生まれるし、やるぶんにはいいと思うよ」
――ところで「ミケランジェロ」で美ボディーを作った高須院長は体形をキープしていますね。何か秘訣があるのでしょうか?
高須「ダイエットというのは、要は摂った栄養と消費のバランスが合うかどうかということ。ちょびっとしか食べなくても運動もせずにゴロゴロしていたら太るし、いっぱい食べても身体をそれ以上に動かせばヤセる。その計算を常に考えることができれば、ダイエットは成功といえるでしょう」
――なるほど。ではリバウンドしにくいダイエットのルールは?
高須「いい加減さ! ストイックさは過剰な減量思考につながり、過剰な減量はキレイな肌も奪うよ。だから身体がダイエットしてるって気づかないくらい、ゆるくいい加減にやるのが中年以降のダイエットのルールです。クリスマスやお正月の爆食で太っても、焦ってはダメだよ!」
<プロフィール>
高須克弥(たかすかつや):
1945年愛知県生まれ。高須クリニック院長。医学博士。昭和大学医学部卒業、同大学院医学研究科博士課程修了。脂肪吸引手術など世界の最新美容外科技術を日本に数多く紹介。金色有功章、紺綬褒章を受章。『その健康法では「早死に」する!』(扶桑社)、『筋と義理を通せば人生はうまくいく』(宝島社)、『ダーリンは70歳/高須帝国の逆襲』(Kindle版)、『行ったり来たり僕の札束』(小学館)。最新刊は『ダーリンは71歳・高須帝国より愛をこめて』(小学館)