2年前に2人でジャンプ台へ行った際に撮影。左が弟の寿、右が兄の択。笑った顔はそっくりだ

「とにかく負けず嫌いでしたね。小学生のときは誰よりも早く学校に行きたがって、まだ校門も開いてないときから朝いちばんに登校していましたよ。そのぐらいなんでも1番になりたがっていました」

 男子ノルディックスキージャンプの日本代表で出場する竹内択。彼の性格について、母・昌子さんに聞くと、冒頭のような答えが返ってきた。

 竹内は、前回のソチオリンピックのラージヒル団体で銅メダルを獲得。今大会でもメダルに期待がかかる選手のひとりだ。

 昔から目標を明確に設定していたようで、'03年に中学を卒業した後、家族と離れてフィンランドにスキー留学している。当時のことを父・亨さんに聞くと、

「地元にいたフィンランドのコーチが、生徒を誘っていたのですが、択はその誘いに乗って中学2年生の夏に留学することを決めました。私は反対はしませんでしたが、2つ条件を出しました。弱音を吐かないことと、勉強もきちんとやることです。実際、彼が弱音を吐いたことはありませんでしたね

 学生のころからしっかりしていたようだが、それには4人兄弟の長男という家族構成も関係しているのかもしれない。

「家族みんな仲がいいですね。特に兄弟の仲がよくて、私たちは間に入れてもらっているような感じです」(昌子さん)

 兄弟の中でも特にいちばん下の弟とは親密。ちなみに、この末っ子とは俳優の竹内寿のことだ。彼にも話を聞いた。スキージャンプ経験のある寿から見ても、技術的に兄は図抜けていたという。

竹内択選手

「海外の選手と比べても、うまいと思いますね。流れが全部きれいなんです。兄がもう選手になっていたときに、一緒に練習したことがありました。ほかの選手も練習しているので、何回か飛んでいくうちに上に行って飛ぶタイミングがずれてきます。僕がリフトに乗っている間に飛んでいる人がいて、“この人うまいな”と思って、よく見たら兄だったことも(笑)

 目標にするだけでなく、一緒に遊ぶこともあった。

「兄の友達がいるところに僕もまぜてもらっていました。全然、嫌な顔をせず誘ってくれたんです。上の兄2人のことも可愛がっていましたが、特に僕は可愛がられていたと思います」

 お互い仕事で忙しいが、今でもよく一緒に遊ぶという。

「1年に10数回は会っています。東京で一緒にご飯を食べたり、お酒を飲んだり。地元で一緒にドライブに行くことも。最近は、ゴルフもやります。夏は、だいたい兄弟4人でゴルフに行くんです。兄はゴルフもうまくて、ベストスコアは84だったと思います」

 なんでもできてしまう択だが、ちょっと意外な趣味も。

「ファッションは、スポーツの次くらいに好きだと思います。ファッション雑誌では『LEON』が好きで読んでいますよ。お父さんにも、“これちゃんと読んで勉強して”と言って渡していますから(笑)」

 温かい家族の応援があれば、どんな壁も“ジャンプ”できるに違いない!