それは、あまりにも突然だった─。
「2月21日の午前3時53分、急性心不全で亡くなられました。前日の20日もドラマ撮影に参加しており、いつもと変わらない様子だったそうです」(スポーツ紙記者)
撮影していたのは『バイプレイヤーズ~もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら~』(テレビ東京系)。
「20日の撮影後に、共演の松重豊さんたちと夕食をともにし、ホテルの自室に戻ったあと、腹痛に襲われたそうです。
大杉さんら主演5人は、LINEのグループでつながっており、大杉さんがそこに“具合が悪い”と書き込み、異変に気づいた松重さんがタクシーで病院に連れて行きました。懸命の治療が施されましたが、ほかの主演4人と妻、事務所関係者、一部スタッフなどに看取られたそうです」(同・スポーツ紙記者)
グループLINEや最期の様子からもわかるように、大杉さんや松重、そして遠藤憲一、田口トモロヲ、光石研の主演5人の絆はとても強かった。
「'17年に放送された前作『バイプレイヤーズ ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~』は業界内外で評判を呼びました。
今クールでパート2が放送となりましたが、“パート2を同じキャスト、同じスタッフで”と望んだのは、ほかならぬ大杉さんだったそうです。
“代わりはいない”という考えから、代役は立てず、遺族の理解も得られたので、最終回までの残り2回も予定どおり放送することが決定しました」(テレビ局関係者)
各界から哀悼の声が聞かれたが、芸能界以外で特に多かったのが、サッカー界だ。
「学生時代、サッカー部だった大杉さんは、地元・徳島県のサッカークラブ『徳島ヴォルティス』の大ファン。
スタジアムにも直接、足を運ぶほどの熱の入れようでした。関東圏で行われる試合には、よくバスや電車に乗って、おひとりで訪れていましたよ」(サッカーライター)
今回の訃報には、ヴォルティス以外のクラブ、選手からも哀悼のメッセージが相次いだ。
芸能人の訃報に、サッカー選手やクラブがこれほどメッセージを出すことは例を見ない。
「大杉さんは、招待券や特別席を提供されることも多かったそうですが、それを受け取ることはなく、あくまでプライベートで応援しているからと、熱狂的なファンが集うゴール裏のチケットを自分で取り、ときには立ちっぱなしで応援していました。
そういった彼の姿勢が、ひいきクラブ以外のファンや選手の尊敬を集めた理由だと思いますね」(同・サッカーライター)
プライベートでは、都内の自宅からほど近い商店街によく顔を出していた。
「本当に気遣いの人で、誰に対しても接し方が丁寧で、低姿勢で、素晴らしい方でした」
そう話すのは、彼の自宅近くにある焼き肉店『永福苑』オーナーの李大善さん。
「多いときは週に2回お見えになるときもありました。ランチはおひとりで、夜は月に1回程度ご家族で来られることが多かったですね。ご家族で来られたときは本当になごやかで、笑顔の絶えない家庭といった感じでした」(李さん)
大杉さんにとってここは、近所にある普段使いのお店だったが、仕事仲間を連れて訪れていたことも。
「店の近くにある新国立劇場で、藤原竜也さんが舞台に出演したとき、大杉さんが見に行かれたんです。藤原さんは大杉さんを非常に慕っているそうで、2人と藤原さんの結婚前のいまの奥さんと一緒に来てました。
大杉さんが予約してくれて、ふたりに“どんどん頼んで~”と、もてなしていましたね。大杉さんは、普段あまり高級なお肉を頼まれるわけではないですが、そのとき僕がちょっといいものを出しちゃって。“いつも僕が食べるのよりいいな”って笑っていましたね」(李さん)
商店街で話を聞くと、多くの人がうれしそうに大杉さんとの思い出を話した。
「散歩コースだったから、ワンちゃんを連れていたりね。本当に気さくないい人。見かけたときに“あ、大杉さん!”なんて話しかけると、“どうも~”なんてね。よく近くのスーパーなんかでも買い物してたよ」(近所に住む男性)
「うちの子どもが道で遊んでいるのを見て、“ケガしないようにね~”って優しく声をかけてくれました」
地元のこんにゃく店からも愛された漣さん
「高田さんが漣さんの家の近くを通ったときに、たまたま彼が車で通ってちょっとだけ出演したんです。
すると放送後わざわざ“見たよ~”ってお店に来てくれました。“一緒に(同じ番組に)出ちゃったねぇ。ごめんね、僕も一緒に出ちゃって~”って。
本当に気さくだから、映画で悪役を演じて“バカヤロー!”なんて言っているのを見ると、もう全然、正反対だなぁって(笑)」(小井土さん)
直前まで元気だったと報じられているが、小井土さんは、少し違った様子の大杉さんを見かけていた。
「ずいぶんお疲れな様子で、やせたというかやつれた感じがすごかったんです。頬もこけたように見えて。
いつも“漣さ~ん”なんて声をかけるんですが、今回の撮影はずいぶん自分を追い込んでいるのかなぁって思って、こっちが変に声をかけないほうがいいかなと、会釈だけにとどめて終わりました。まさかこんなことになるなんて……」
“300の顔を持つ男”の優しい素顔。その笑顔は、もうスクリーンでもスタジアムでも、商店街でも見られない─。